水いぼを治療していたら、周りに湿疹が…これって大丈夫?
「水いぼを治療していたら、周りの皮膚が赤くなってきた」
「水いぼがないところまで、急に痒くなってきた」
水いぼの治療中、このようなご相談を受けることがあります。
一見すると「水いぼが広がったのでは?」と心配になりますが、実は水いぼそのものではなく、湿疹が広がっていることがあります。
水いぼでは、時々このような湿疹反応が起こることが知られています。
水いぼの周りにできる湿疹と「id reaction」

水いぼの周囲に赤みや痒みのある湿疹ができることを、molluscum dermatitis(水いぼに伴う湿疹)と呼びます。
さらに、水いぼから離れた場所にまで湿疹が出てくることがあります。
このような反応の一つが、「id reaction(自家感作性反応、播種性二次性湿疹)」です。
簡単にいうと、水いぼがある場所で起きている炎症に対して、皮膚の免疫反応が起こり、その反応が水いぼのない別の場所にも湿疹として現れる、と考えられています。
実際、海外では小児の水いぼに伴うid reactionについて報告があり、水いぼの周囲だけでなく、離れた部位に湿疹が出るケースも報告されています。
つまり、「水いぼがない場所に湿疹が出た=そこにも水いぼができた」というわけではありません。
当院でもワイキャンス®による水いぼ治療を行っていると、時々、水いぼの治療部位とは離れた部位に、急性湿疹が出るケースを経験します。
従来の摘除による治療では、水いぼを一つずつ取り除いていくのに対し、ワイキャンス®の外用治療では複数の水いぼに対して治療を行うことが可能です。
それにより水いぼ部位にまとまった炎症反応が起こることが、id reactionのきっかけの一つになっている可能性も考えられます。(自験例ではこの反応は1-2週間で落ち着きます。)
この違いを知っておくと、治療中の皮膚の変化に慌てずに済みます。
どんなお子さんに起こりやすい?
水いぼは、もともと乾燥肌やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下しているお子さんには、広がりやすいことが知られています。
特にこうしたお子さんにおいて、もともとの湿疹病変以上に、水いぼ治療をきっかけに水いぼから離れた部分にも湿疹が併発するケースが当院でもみられる場合があります。
ただし、「皮膚のバリア機能が低いからid reactionが起こる」と言い切れるわけではありません。
皮膚バリアの低下は水いぼの感染や拡大には関係しますが、id reactionがなぜ起こるのか、またどのようなお子さんに起こりやすいのかについては、完全には分かっていません。
「薬が合わないの?」と思ったときは
もう一つ大切なのが、治療に使用している外用剤の影響による赤みです。
当院では水いぼの治療に、3A M-BFクリームを併用することもあります。

そのため、治療中に赤みやかゆみが出てきた場合には、
・水いぼに対する免疫反応
・もともとの乾燥や湿疹
・アトピー性皮膚炎などの基礎疾患
・外用剤による刺激
・外用剤に対する接触皮膚炎
など、いくつかの可能性を考える必要があります。
ここで診断の手がかりになるのが、「どこに外用剤を塗っていたか」と「どこに皮疹が出てきたか」という位置関係です。
たとえば、3A M-BFクリームを塗っていた水いぼの周囲やその近くではなく、外用剤を塗っていなかった離れた場所に突然、赤みや痒みのある湿疹が出てきた場合には、単純に「薬が合わなかった」とは考えにくく、水いぼをきっかけとしたid reactionなども考える必要があります。
「水いぼの治療を始めたら湿疹が出た=id reaction」あるいは「薬が合わない」と、どちらかに決めつけることはできません。
皮膚の状態を実際に確認しながら判断することが大切です。
(当院の症例では今のところ3A-M-BFクリームで刺激が出た患者様は確認できておりません。)
湿疹が出たら、水いぼが治るサイン?
水いぼに伴う湿疹反応については、水いぼに対する免疫反応が強くなっているサインではないか、そして自然に治っていく前兆ではないかという考えがありますが、これを裏付ける十分な研究はまだなく、現在のところ、「湿疹が出た=もうすぐ水いぼが治る」と断定することはできません。
「水いぼが増えた?」と思ったら、一度確認を
水いぼの治療中は、皮膚の見た目が変化することがあります。
「赤くなった」
「痒くなった」
「水いぼのない場所にも湿疹が出てきた」
という場合、単純に「水いぼが増えた」とは限りません。
水いぼそのものが炎症を起こして赤く痒くなっているのか、水いぼの周囲に湿疹ができているのか、それとも水いぼから離れた場所にid reactionによる湿疹が出ているのか。
原因を考えるうえで大切なポイントは、前述のように、外用剤を塗った部位に一致して皮疹が出ているか、それとも全く別の場所に出ているのか、です。
それぞれで対応が異なるため、治療中の皮膚の変化も含めて診察することが大切です。
当院では、水いぼの数や大きさだけでなく、周囲の皮膚の状態や湿疹の有無も確認しながら、お子さんの皮膚状態に合わせて治療を行っています。
水いぼの治療中に「なんだか湿疹が広がってきた」と感じたときは、自己判断せず、一度ご相談ください。

~関連コラム~
<参考文献>
1.Netchiporouk E, Cohen BA. Recognizing and managing eczematous id reactions to molluscum contagiosum virus in children. Pediatrics. 2012;129(4):e1072-e1075. doi:10.1542/peds.2011-1054.
2.Caussade MC, Downey C, Krämer D. Skin reactions related to molluscum contagiosum infection. Andes Pediatr. 2024;95(2):136-142. doi:10.32641/andespediatr.v95i2.5034.
3.Silverberg NB, Benjamin L, Gonzalez ME, et al. Molluscum Contagiosum in the Pediatric Population: Expert Consensus Guidance on Prevention and Treatment. J Drugs Dermatol. 2026;25(8):717-725. doi:10.36849/JDD.10025.
監修医師
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長
つつみ みどり