花粉症治療②舌下免疫療法とゾレア®注射治療の費用・効果・違い
ーあおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院ー

🌸スギ花粉症🌸のつらいシーズンですね。
近年は地球温暖化の影響で冬の気温が高くなる傾向があり、スギ花粉の飛散開始時期が早まる年が増えているといわれています。
特に1〜2月の気温が高い年は花粉が早く飛び始めることがあります。
スギ花粉の”量”は前年の夏の気候に影響されます。特に猛暑で日照時間が長い年はスギの雄花が多く形成されるため、翌年の花粉飛散量が増える傾向があります。
花粉症の症状は花粉だけでなく、大気汚染物質の影響も受けると考えられています。特にPM2.5は鼻や気道の粘膜に炎症を起こし、花粉症状を悪化させる可能性があります。
今や国民病ともいわれる花粉症…。
治療法には抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の内服や、点眼薬、点鼻薬があります。
さらに、舌下免疫療法という体質改善を目指す治療や重症の場合は抗IgE抗体製剤のゾレア®注射薬による治療法などがあり、注目されています。
(詳しくは前回のコラムもご参照ください^^)
今回は、治療の費用や効果、よくあるご質問について、わかりやすく解説します。
舌下免疫療法(スギの場合はシダキュア®)

・健康保険適用の治療法です。
・3割負担の方では、月に2,000〜3,000円の費用がかかります。
・毎日、舌の下に薬を置きます。
・治療期間:3〜5年と比較的長い期間の治療が必要ですが、意外とあっという間に月日が流れます。
1回あたりの費用は比較的少ないのが特徴です。
また、治療を続けることで、花粉症の症状が軽くなる、内服薬の量が減る(必要なくなる方もいます)、
数年後に症状が大きく改善する、などの効果が期待できます。
ゾレア®の注射治療(抗IgE抗体)
・健康保険適用の治療法です。
・3割負担の方では、1回4,000〜15,000円程度の費用がかかります。
(シーズン毎に事前に測定する血中IgEの値や体重によって投与量が異なり、費用に差が出ます。)
| 体重の目安 | 1回の費用(3割負担) |
|---|---|
| 約40〜50kg | 約1万〜2万円 |
| 約50〜70kg | 約2万〜3万円 |
| 約70kg以上 | 約3万〜4万円 |
・2〜4週間ごとに皮下注射を行います。
(こちらも事前の血液検査によって必要な投与間隔が決まります。)
→花粉シーズン中に数回注射を行うことになるため、シーズン全体では数万円~十数万円になる場合があります。
・花粉シーズンを中心に使用されます。
・花粉症などのアレルギーに関わるIgE抗体を抑制し、重症症状を改善します。
*どなたでも受けられる訳ではなく、花粉症の重症度、昨年度の治療薬の内容に応じて適応か否か決まります。シーズン毎に血液検査が必要です。
高額療養費制度の活用
ゾレア®治療では費用が高額になることがありますが、”高額療養費制度”を利用することで自己負担額の上限が設けられます。
例えば、70歳未満で一般的な所得の方の場合、1か月あたり約8〜9万円が自己負担の上限となります。
また、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いが最初から上限までに抑えられます。
花粉症治療の全体像(軽症〜重症)と治療費の目安(自己負担3割)
花粉症の治療は、症状の強さや体質に応じて段階的に選択されます。
| 治療段階 | 治療方法 | 費用目安(3割負担) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 軽症 | 抗ヒスタミン薬 (内服) | 月1,000〜2,000円 | くしゃみ・鼻水・目のかゆみを抑える基本的な治療法。 |
| 軽症〜中等症 | 抗アレルギー点眼薬 | 月500〜1,500円 | 目のかゆみ・充血を改善する。 |
| 軽症〜中等症 | ステロイド点鼻薬 | 月1,000〜2,000円 | 鼻づまりに特に効果が高い。 |
| 中等症 | 漢方薬(小青竜湯など) | 月1,500〜3,000円 | 小青竜湯は水のような鼻水が多いタイプに使用される。 |
| 中等症 | アレジオン® 眼瞼クリーム | 月1,000円 | まぶたに塗る抗アレルギー薬。1日1回で点眼が苦手な方にも使いやすい。 |
| 体質改善治療 | 舌下免疫療法 (シダキュア®) | 月2,000〜3,000円 | 3〜5年継続して花粉症の体質改善を目指す。 |
| 重症 | ゾレア®注射 (オマリズマブ) | 1回 4,000〜15,000円 | 重症の花粉症に対する抗体製剤。 花粉シーズンに合わせて注射。 |

最近では、アレルギー性結膜炎に適応のアレジオン®眼瞼クリーム(2g)という新薬が発売されています。
1日1回、適切に使用すると目薬よりも高い効果が期待できます。
こちらについては次回以降のコラムに詳しく記載します。
シダキュア®とゾレア®の併用について
舌下免疫療法の効果が出る前や、花粉シーズンの症状が強い場合に、併用することがあります。
花粉症治療は症状に合わせて選択することが大切です
花粉症の治療には
・抗アレルギー薬による対症療法
・舌下免疫療法(シダキュア®)
・重症例に対するゾレア®注射治療
など、いくつかの選択肢があります。
舌下免疫療法は体質改善を目指す長期的な治療、ゾレア®は重症症状を強く抑える治療という位置づけになります。
症状の強さや生活への影響に応じて、適切な治療を選ぶことが大切です。
ゾレア®治療についてのよくある質問(FAQ)
Q. ゾレア®は花粉症にどの程度効果がありますか?
ゾレア®は、アレルギー反応に関わるIgE抗体の働きを抑える抗体製剤です。
臨床試験では、通常の抗アレルギー薬治療にゾレア®を追加することで
・くしゃみ
・鼻水
・鼻づまり
・目の痒み
といった花粉症症状が、約30〜40%程度改善することが報告されています。
特に
・抗アレルギー薬だけでは症状が十分に抑えられない
・鼻づまりが強い
・日常生活や睡眠に支障がある
など重症の花粉症の方で効果が期待される治療です。
Q. ゾレア®はどれくらいの期間効きますか?
ゾレア®は、血液中のIgE抗体に結合してその働きを抑える薬です。
血中半減期は約20〜26日と比較的長く、通常は2〜4週間ごとに皮下注射を行います。
スギ花粉症では、
・花粉シーズン前後から治療を開始
・シーズン中に数回注射
することで症状をコントロールします。
Q. ゾレア®は毎年受ける必要がありますか?
ゾレア®は症状を抑える治療ですが、花粉症の体質そのものを改善する治療ではありません。
そのため花粉シーズンが終わると治療は一旦終了し、翌年の症状や花粉飛散量に応じて再度治療を検討します。
一方で、花粉症の症状を長期的に安定して抑える方法としてシダキュア®による舌下免疫療法があります。
まだ舌下免疫療法を行っていない方、喘息などがなく適応がある方は、将来の花粉症対策として早めに治療を開始して準備しておくことも大切です。
Q. ゾレア®は何歳から受けられますか?
ゾレア®は、スギ花粉症の治療では12歳以上の方を対象に使用することができます。
ただし、
・重症または最重症のスギ花粉症
・抗アレルギー薬などの通常治療で十分な効果が得られない
・血液検査でスギ花粉アレルギーが確認されている
といった条件を満たす場合に治療が検討されます。
またゾレア®の投与量は
・体重
・血中IgE値
によって決定されるため、治療前に血液検査などの評価が必要です。
Q. ゾレア®と舌下免疫療法は併用できますか?
ゾレア®と、舌下免疫療法で使用するシダキュア®は、基本的には併用することが可能です。
治療の目的はそれぞれ異なり、
・ゾレア®:花粉シーズン中の強い症状を抑える治療
・舌下免疫療法:花粉症の体質改善を目指す治療
という位置づけになります。
そのため、
・舌下免疫療法を行っているが症状が強い場合
・舌下免疫療法を開始してまだ効果が十分でない場合
に、ゾレア®を追加して症状をコントロールすることがあります。
Q. ゾレア®は花粉が飛び始めてからでも打てますか?
花粉が飛び始めてからでもゾレア®治療を開始することは可能です。
ただし、ゾレア®はIgE抗体の働きを抑えてアレルギー反応をコントロールする薬であるため、十分な効果を発揮するまでにある程度時間が必要とされています。
そのため実際の治療では、『花粉シーズン”前から”開始する方がより効果的』とされています。
花粉症の症状が毎年強い方は、花粉飛散が本格化する前に医療機関へ相談することをおすすめします。
Q. ゾレア®は妊娠中・授乳中でも受けられますか?
妊娠中のゾレア®治療については、安全性に関する報告はあるものの、一般的には慎重な判断が必要とされています。
そのため、
・妊娠中
・妊娠の可能性がある場合
では、治療の必要性と安全性を考慮して医師と相談のうえで判断します。
授乳中についても同様に、個別に相談することが大切です。
Q. ゾレア®はスギ花粉以外の花粉症にも使えますか?
花粉症に対するゾレア®の保険適用は、現在のところ『スギ花粉症』が対象となっています。
そのため、
・ヒノキ花粉
・イネ科花粉
・ブタクサ花粉
などに対する花粉症では、通常はゾレア®治療の対象とはなりません。
Q. ゾレア®による副作用はありますか?
ゾレア®は比較的安全性の高い薬ですが、
・注射部位の腫れ・痛み
・頭痛
・倦怠感
などが報告されています。
また非常にまれですが、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)が起こる可能性があるため、注射後は医療機関でしばらく様子を確認します。
Q. 高額療養費制度とは何ですか?
高額療養費制度とは、医療費が高額になった場合に、1か月あたりの医療費の自己負担額に上限が設けられる制度です。
ゾレア®のような高価な薬を使用する治療でも、この制度を利用することで自己負担額を抑えることができます。
自己負担の上限額は
・年齢
・所得区分
・医療費の自己負担割合(1〜3割)
によって決まります。
例えば70歳未満で一般的な所得の方の場合、1か月の自己負担上限は約8〜9万円程度となります。
また70歳以上の方では所得区分により上限額がさらに低くなり、外来診療のみの場合は約18,000円程度が上限となるケースもあります。
事前に健康保険から「限度額適用認定証」を取得しておくと、医療機関の窓口での支払いを最初から上限額までに抑えることができます。
ゾレア®治療も高額療養費制度の対象となります。
皮膚科で花粉症を相談するメリット
花粉症では鼻や目だけでなく、以下の症状も出ることがよくあります。
・顔のかゆみ
・まぶたの湿疹
・花粉による肌荒れ など
皮膚科では、皮膚トラブルの治療と合わせて舌下免疫療法やゾレア®治注射についても相談できます。
当院での治療
杉並区のあおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院では花粉症に対して、
・舌下免疫療法(シダキュア®)
・抗アレルギー薬治療(内服・点眼薬・点鼻薬)
・重症花粉症に対するゾレア®注射治療
など、症状や生活スタイルに合わせた治療を行っています。花粉症でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
監修医師
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長
つつみ みどり