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Psoriasis vulgaris
保険診療 /

あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院の尋常性乾癬治療

尋常性乾癬は慢性の炎症性角化性の皮膚疾患で、肘や膝、頭、背中などの特に擦れる部位に、
赤く盛り上がった皮疹(浸潤性紅斑)と銀白色の厚い角質(鱗屑)が現れます。
爪が点状に白くへこむこともあります。
感染症ではないので、他人にはうつりません
肌のターンオーバーは通常は45日ほどですが、これが4-7日と極端に短くなるため、正常の角化が行われず、不完全な状態の皮膚で覆われます
欧米人に多いので、以前は食生活が大きな要因ではないかとされていましたが、感染やストレスなどの環境因子により増悪することが知られており、
遺伝的素因(HLA-Cw6など)を背景に様々な免疫系が絡んでいることまでは分かっています。
白人では家族内発症を認めますが、日本人ではそれほど高くありません。
痒みはない場合が大半ですが、日本人の場合はHLAのタイプとして、アトピー性皮膚炎を併発するケースがあり、痒い場合もあります。
若年層には少なく、青年~中年で発症します。男女差は2:1とやや男性に多く見られます。
乾癬には数種類のタイプがありますが、その中の大半をこの尋常性乾癬が占めます。

皮膚に炎症が起こるということは、関節内でも同様の炎症が起こるため、痛みを伴う関節炎を併発する点が問題です。
特に頭部、臀部、爪に皮膚症状がある場合、関節炎に移行しやすいとされています。
治療法にはステロイド外用剤や皮膚の角質を薄くするビタミンD3の外用剤、光線療法、内服療法、生物学的製剤での治療法があります。

外用治療

乾癬の赤い炎症性の皮疹にはステロイドの外用剤が有効です。
また、乾癬ではケブネル現象と呼ばれる、摩擦が起こりやすい部位の皮膚が角化して厚い銀白色の皮疹(鱗屑)を伴うため、
角質を薄くするビタミンD3製剤(オキサロール軟膏®など)も用いられます。
これらの合剤も存在し、ドボベット®やマーデュオックス®というものもあります。
現在、ドボベット®には軟膏、ゲル、フォームという様々な形状があり、塗り心地も選択できます。


最近ではブイタマー®クリームという新薬も出ました。
非ステロイド性の外用薬で、アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬に保険適応があります。
作用機序はAhR(芳香族炭化水素受容体)を活性化させることにより、皮膚での炎症性サイトカインやケモカインの生成を抑制し、炎症反応を軽くします。
即効性はありませんが、ステロイド剤の長期使用による皮膚の萎縮(皮膚が薄くなる)を軽減できうる点で注目されています。

光線療法(紫外線療法)

代表的な治療法の一つで、治療領域のUVB(紫外線)を照射します。
紫外線には免疫抑制の作用があるため、この働きを利用して、過剰に反応している皮膚内部の炎症細胞を沈静化させます。
アトピー性皮膚炎や尋常性白斑、円形脱毛症などにも保険適応の治療法です。
当院では、JMEC社のターゲット型エキシマライトを使用しています。
処置時間は短時間で済み、照射時の痛みもなく、非常に効果的な治療法です。

<光線療法について>

この紫外線療法はアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、菌状息肉症、円形脱毛症などに対して
保険適応があり、痛みが無く安全性の高い治療法です。
患部に1~数秒ずつ治療機器である紫外線を照射します。治療回数の目安は1週間に 1~2 回です。
日常生活は特に制限はありません。入浴も当日から可能です。
患部に過度の太陽光を浴びないように注意して下さい。(日常生活での照射分は全く問題ありません。)
治療後に照射部が赤くなることがありますが、これは正常な反応です。

内服療法

以前は、チガソン®・エトレチナート®というレチノイド(ビタミンA)や抗癌剤でもあるシクロスポリン®・メソトレキサート®という免疫抑制剤などが内服薬としては主流でした。
特に関節炎を伴う場合はメソトレキサート®が多く使用されました。
いずれも効果の高い内服薬ですが、催奇形性や免疫抑制による副作用に注意が必要でした。
最近では、オテズラ®(アプレミラスト)というPDE4阻害薬の誕生により、これらが使用される頻度は減っています。


皮膚科領域では局所療法で効果不十分な尋常性乾癬と関節症性乾癬に保険適応があります。
PDE4とは、ホスホジエステラーゼ4というもので、免疫細胞のシグナル伝達の調整に関わるサイクリックAMP(cAMP)を不活性形態であるAMPに分解する酵素です。
乾癬やベーチェット病の患者さんでは、PDE4が過剰に高まっています。
cAMPが減ると炎症が起こりやすくなり、皮膚炎や関節炎が発症します。
これを防ぐのがPDE4阻害薬であるオテズラ®です。
重症の乾癬へ移行する前や関節炎がではじめた時、また後述する生物学的製剤による注射や点滴で効果が得られた後の維持療法として適していると考えます。

生物学的製剤による点滴・注射療法

内服療法や光線療法でもコントロールが難しい重症の乾癬や乾癬性関節炎に対して、生物学的製剤という点滴や注射の選択肢があります。
これらの薬剤は、乾癬の炎症を引き起こす特定のサイトカイン(TNFα、IL-17、IL-23など)の働きをピンポイントでブロックするため、非常に高い効果が得られます。
日本皮膚科学会が認定した「生物学的製剤承認施設」でのみ治療を開始できます。

TNFα阻害薬にはインフリキシマブ (レミケード®)、アダリムマブ (ヒュミラ®)、
IL-17A阻害薬にはセクキヌマブ (コセンティクス®)、イキセキズマブ (トルツ®)、
IL-17受容体阻害薬にはブロダルマブ (ルミセフ®)、
IL-17A/F阻害薬にはビメキズマブ (ビンゼレックス®)、
IL-23阻害薬にはグセルクマブ (トレムフィア®)、リサンキズマブ (スキリージ®)、
IL-12/23阻害薬にはウステキヌマブ (ステラーラ®)などの種類があります。


私が研修医の頃には特に尋常性乾癬の症例の多い病院で経験させて頂きました。
レミケード®やヒュミラ®、その後ステラーラ®の投与が可能となり、専門医になる頃にはコセンティクス®が発売され、投与していました。
その後は多数の薬剤が一気に登場し、近年では乾癬治療の選択肢が増えました。
乾癬の生物学製剤は当院では行えていませんが、総合病院に勤務していた時代に、投与した患者様の皮疹がみるみる良くなり、
患者様から「やっと人目を気にせず温泉に入れるようになりました。」と泣きながら喜びの言葉を頂戴した経験が今でも強く印象に残っています。

生物学的製剤は治療費が高額になることが患者様にとって大きな負担となります。
また免疫状態が下がらないかの事前のチェックと投与の定期的な検査が必要です。
日本の高額療養費制度により、自己負担額が軽減します。

以上のように、尋常性乾癬の治療法は様々です。
前述のうち、当院では乾癬の治療法のうち、生物学的製剤以外の治療をすべて行っております。
(アトピー性皮膚炎での生物学的製剤については、免疫力を低下させないため、当院で投与できます。)

乾癬にお困りの患者様はご相談ください。

監修医師

あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長

つつみ みどり