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eczema, insect bites, and rashes
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痒みを伴う赤い皮疹ができ、それが盛り上がったり、小さな水膨れになったり、膿を伴う状態や浸出液を伴い湿潤する、
それが黄色痂疲と呼ばれるかさぶたになる、または落屑という炎症を起こした後に乾燥して皮膚から剥がれる状態、
さらに慢性化する場合は苔癬化と呼ばれる厚くザラザラした茶色から灰色の皮疹になる変化、色素沈着など、
皮膚科では皮疹の状態に多様性があること、と定義されます。


急性湿疹、慢性湿疹、かぶれ(接触皮膚炎)、アトピー性皮膚炎など広義で様々な皮膚疾患を含みます。
原因としては、外的因子としてハウスダストや花粉などのアレルゲン物質、細菌やカビ、化学物質、薬剤が挙げられ、
内的因子としてアトピー素因などのアレルギー体質、皮膚の乾燥や発汗、皮脂分泌の状態、健康状態などがあり、これらが複雑に絡み合い、発症します。

蕁麻疹とは明確に区別されます。

蚊、ブヨ、蜂に刺されて発症することが多く、赤みと腫れを伴う皮膚炎です。
昆虫が吸血する際のアレルギー反応や異物に対する反応で引き起こされ、痒みや熱感、腫れ、痛みを伴うことがあります。
年齢や体質、刺された部位によって反応が異なります。
蜂に刺される場合はアナフィラキシーショックを生じることもあり、注意が必要です。
肉眼上で原因が特定できる虫の種類は限られています。

ここからは厳密には虫刺されではありませんが、虫による皮膚疾患をご紹介します。

『線状皮膚炎』
「アオバアリガタハネカクシ」という甲虫がもつ体液が人の皮膚に付着することで皮膚炎を生じます。
夏に線状の赤く腫れた特有の皮疹を生じ、痛みを伴う場合が多いです。

(アオバアリガタハネカクシ)

毛虫皮膚炎
毛虫に刺されていなくても起こる皮膚炎です。日常診療でよくみる疾患です。
「チャドクガ」という毛虫が関係しています。
チャドクガは成虫になると蛾ですが、幼虫の時は長さ0.1mmの毒針毛と呼ばれる毛を50万本も身につけており、
風などにより舞ってきた毛が皮膚に触れることで湿疹を引き起こします。
腕などの露出部位から始まる鮮紅色で強い痒みを伴う均一なサイズの湿疹が多発するのが特徴です。
チャドクガは梅雨の前後、6月頃と9-10月の年2回、発生します。
ツバキ、サザンカ、チャノキの葉をえさとしているため、これらの名所が多い都内でもよく見かける皮膚炎です。

(サザンカ)

マダニ咬傷
マダニが皮膚に吸着して起こる皮膚炎です。
マダニが皮膚の表面を這っても、人間はほとんど何も感じません。
マダニが吸血するとみるみる虫体が膨らみます。真っ黒なできものが肉眼で見えるようになって、はじめて刺咬されことに気づくケースが多いです。
山の中や草むらに多く生息しています。犬の散歩の際に草むらに入って刺咬されることもあります。
私は九州出身なので、マダニに体中を刺された患者様を何回か診察しました。
「いきなりイボが多発しました。」との訴えで外来に来られた患者様の体中に認めたイボ(とご本人が表現されたもの)の正体は、
すべて、吸血して大きくなったマダニでした。本当に驚きました。

マダニは無理やり引っ張って取ろうとしてはいけません。
口器が皮膚内部に残り、皮膚が異物を取り囲む反応を起こして硬くなります。
アルコールやワセリンなどで密封し、虫を十分に窒息させてから取り除きます。
口器が皮膚内部に残る場合は、メスを用いて皮膚ごと切除する必要があります。
マダニが怖い点は、マダニに媒介される感染症(ライム病、日本紅斑熱、ツツガムシ病、血小板減少性重症熱症候群など)を引き起こす可能性があることです。
また、マダニによって獣肉アレルギー(牛肉など)が発生することが分かり、近年非常に注目されています。

(マダニ)

トコジラミ
近年増えており、注意が必要な吸血性の寄生虫です。
しらみという言葉がついていますが、しらみではなく、南京虫(ナンキンムシ)というカメムシの仲間です。
トコジラミに刺されると、眠れないくらいの激しいかゆみやアレルギー症状を伴います。
トコジラミは繁殖力が高く、殺虫剤に耐性がある種類の虫もいるため、非常に厄介です。
畳やカーペット、寝具、家具やカーテンの隙間など暗くて狭い場所を好みます。
成虫は長くて18ヶ月間も生息し、一日で5〜6個の卵を産むため、放置すると大量に繁殖してしまいます。
最近、増えている理由は、海外からの荷物にまぎれこんだトコジラミがトラック内で広がり、
段ボールを介して家の内部に持ち込まれるケースが増えたこと、
殺虫剤が効かないタイプの虫が増えたこと、などです。
トコジラミは夜行性であるため、就寝中に露出している肌を刺すことが特徴です。
首の後ろに症状がある場合は、ダニよりもトコジラミの可能性が考えられます。
皮膚症状に対しては早急に皮膚科を受診して下さい。

また、駆除のためには専門の業者へ依頼する必要があります。
暑くて湿度が高くなる時期はトコジラミが活動しやすくなります。
ダンボールなどの荷物は玄関先で開封、そのまま処分し、なるべく室内に持ち込まないように気を付けましょう。

(トコジラミ)

”かぶれ”のことです。赤み、水膨れ、黄色いかさぶたの症状が出ます。
原因物質により、誰にとっても刺激のある物が触れて初めてでも発症する刺激性接触皮膚炎
触れる機会が何度かあることで皮膚の中の免疫担当細胞が反応し、記憶され、回数が重なると
突然皮疹を発症し、その後は原因物質に触れるとすぐに皮疹がでるようになるアレルギー性接触皮膚炎
大きく2種類に分かれます。
金属や植物、シャンプーなどの洗浄剤、白髪染め、化粧品、植物などが原因となることが多いです。

接触皮膚炎は血液検査では原因を特定できません。パッチテストで判定します。

『アレルギー』の項でもご説明しておりますので、ご参照ください。

監修医師

あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長

つつみ みどり