
Alopecia treatment
円形脱毛症
保険診療 /
あおい皮フ科クリニックの円形脱毛症治療
円形脱毛症とは
円形や楕円形の境界明瞭な脱毛斑が単発から複数箇所見られる場合や、個々の脱毛斑がくっついてすべての頭髪が抜ける場合(全頭型脱毛症)もあります。
頭髪以外にも眉毛やひげ、陰毛、四肢の毛など全身の発毛部位のどこにでも起こり得ます。
痛みがなく突然に大量の脱毛があるため、他の人からの指摘で気づくケースも多いのが特徴です。
数ヶ月で自然に治ることもありますが、難治であったり再発したりする場合もあります。
治療の代表例として、ステロイド外用療法、ステロイド局所注射、光線療法、内服療法、局所免疫療法があります。
原因
毛のサイクル(毛周期)は、成長期→退行期→休止期を繰り返します。
その中で、成長期の毛を作る部分の毛母細胞が局所の炎症などで一時的に破壊されることで脱毛が起こります。
アトピー性皮膚炎などの湿疹性病変による炎症や全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの膠原病、尋常性白斑、甲状腺疾患、Ⅰ型糖尿病などの自己免疫性疾患を含む遺伝的背景が関係することがあり、
さらに疲労やストレス、コロナウィルスなどによる感染症やワクチン接種などの環境的な要因がきっかけとなる報告があります。原因不明なこともあります。
治療
治療の基本は、脱毛が起こる部位の局所の異常反応を、抑えるか、または逆に別の強い力で攻撃するか、もしくは発毛を促すよう血行状態を整えるか、ということです。
日本皮膚科学会の円形脱毛症ガイドライン2024に基づき、以下に示すうち、当院ではステロイドの外用・局所注射療法・抗ヒスタミン薬の内服療法・光線療法を行っています。
・ステロイド外用やステロイド局所注射療法(推奨度Ⅰ)
脱毛斑がある程度限局している場合に、脱毛部位の湿疹や自己免疫の異常を抑えるのに適しています。実臨床ではステロイドの局所注射は効果が高い治療法の一つです。
・内服療法
<抗ヒスタミン薬>
アトピー性皮膚炎を含む湿疹性病変が原因となっている場合に効果的です。
<セファランチン、グリチルリチン>
アレルギー反応を抑えたり、血流をよくしたりする効果を期待して以前はよく用いられていましたが、
ガイドラインでの推奨度はⅡであり、併用療法の一つとして行ってもよい、という位置づけです。
<ミノキシジル内服>
副作用や未承認であること、十分な効果が分かっていないことから推奨されていません。
<経口JAK阻害薬>
炎症性サイトカインによる刺激が細胞内に伝達されるときに必要なJAK(Janus kinase[ヤヌスキナーゼ])という酵素を阻害することにより、
新たな炎症性サイトカインの産生を阻害する効果をもたらす薬剤が近年承認されています。
円形脱毛症では、オルミエント® やリットフーロ®という薬が現在のところ保険適応であり、推奨度Ⅰとされています。
高い効果が期待できますが、免疫系に作用する可能性があり、投与前に全身のスクリーニング検査や投与中に感染症などが起きていないかの
CT検査などの画像評価を含めた検査が必要となるため、当院では投与しておりません。
・光線療法(紫外線療法)

保険適応の治療法であり、安全性と利便性からよく用いられ効果の高い治療法です。紫外線のUVBのうち、より治療効果が高い波長領域の308nmの紫外線を照射します。
紫外線の免疫抑制作用を利用して、過剰反応を起こしている部位の皮膚症状を沈静化させる治療法です。
当院ではエキシマライトというターゲット型光線療法での治療を行っています。
メリットは、症状のある部分(ターゲット)にのみピンポイントでより確実に照射できることです。体への影響が少なく、安全性の高い治療法です。
・局所免疫療法
自然界に存在しないSADBEやDPCPという人工的に作られた物質で頭皮をかぶれさせ、発毛を促す治療法です。ガイドラインでは推奨度Ⅱです。
脱毛が起こっている毛母細胞は皮膚の中にあり、その周りにはT細胞という免疫細胞が集まっています。
皮膚表面をSADBEやDPCPの強い力でかぶれさせることで、炎症に関わっていたT細胞が皮膚の中から表面に移動し、毛母細胞への攻撃力が弱まるため、脱毛が起こりにくくなります。
手順は、強めの濃度のものを皮膚に外用し感作(敵だと認識させる)させた後、極低濃度から徐々に濃い濃度に上げた試薬を脱毛部位に外用します。
危険物の取扱いなので、慎重に管理して医療機関で行う治療法です。
その他の治療法として、ステロイド内服療法やステロイドパルス療法(静脈内への点滴)などがあります。
監修医師
あおい皮フ科クリニック 院長
つつみ みどり