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【皮膚科専門医・美容皮膚科監修】ビタミンA完全ガイド~第一弾~|ビタミンAの体へのはたらきを徹底解説

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ビタミンAとは

「ビタミンA」「ビタミンA誘導体」「レチノール」などスキンケアにおいてよく知られているビタミンAについて
ビタミンAとはそもそも何なのか?、主に体にはどう役立つのか?について解説します。


ビタミンAの基本知識と体への役割

ビタミンA脂溶性ビタミン(油に溶けやすく、水には溶けにくい)の一種です。
脂溶性ビタミンには、ビタミンA、D、E、Kの4種類があります。


その中でビタミンAの体内での役割には以下のようなものがあります。 

   ○皮膚や粘膜を健康に保ちます。(肌のターンオーバー促進)
   ○目の健康(網膜の光受容体の成分)を促します。
   ○免疫力の維持(感染予防)に役立ちます。
   ○細胞の分化・成長を調節します。        

ビタミンAの種類

ビタミンAには大きく2つの系統があります。
1.動物性由来(レチノール型)
  ○肉・魚・卵・乳製品などに含まれます。
  ○すぐに体内で使える形(レチノール)として存在します。
  ○例:鶏レバー、うなぎ、卵黄、バターなど
2.植物性由来(プロビタミンA:βカロテンなど)
  ○人参やほうれん草、かぼちゃなど緑黄色野菜に多く含まれます。
  ○体内で必要に応じてレチノールに変換されます。
  ○例:にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、赤ピーマンなど

脂溶性ビタミンの特徴

 ○油と一緒に摂ると吸収率が上がります。(例:サラダにオイルをかけるなど)
 ○脂肪組織や肝臓に蓄えられます。
 ○摂りすぎ注意! 脂溶性のため排泄されにくく、過剰症のリスクがあります。(特にサプリや薬での過剰摂取)

ビタミンAは不足しても問題ですが、脂溶性ビタミンなので過剰摂取すると体内に蓄積して中毒症状を起こします。

ビタミンAが不足した場合の体調への影響(全身症状)

 ○夜盲症(とり目) 薄暗い場所で目が見えにくくなります。
      ビタミンAは網膜の視覚物質(ロドプシン)の材料なので、不足すると発症します。
 ○視力低下・乾燥性結膜炎 目の表面が乾いてゴロゴロします。
 ○免疫力低下 風邪や感染症にかかりやすくなります。
 ○成長障害(子ども) 骨や歯の発達に影響します。
 ○妊娠中の不足 胎児の発育不良や先天異常のリスクがあります。

ビタミンAが不足した場合の皮膚への影響

 ○乾燥肌・かゆみを生じます。
 ○毛穴の詰まり・角化異常(毛孔性苔癬:サメ肌のようなザラザラの肌)を起こします。
 ○傷の治りが遅くなります
 ○皮膚や粘膜が弱くなり、感染しやすくなります。

ビタミンAが不足しやすい状況

 ○食事制限や極端なダイエット
 ○消化吸収不良(脂質吸収障害、腸の病気)
 ○肝臓の病気(貯蔵できない)
 ○母乳栄養のみで母親がビタミンA不足の状態

ポイント

 ○野菜(βカロテン)・卵・乳製品・魚・レバーなどをバランスよく食べることが大事です。
 ○野菜に含まれるβカロテンは、必要な分だけ体内でビタミンAに変換されるので、過剰症の心配はほとんどなく、
  むしろ体内で不足しないように油と一緒に食べるなど工夫をして摂取しましょう。

ビタミンAを過剰に摂取した場合の体調への影響(全身症状)

急性中毒(短期間に大量摂取)

 ○頭痛・吐き気・めまい
 ○食欲不振
 ○倦怠感
 ○関節や骨の痛み
 ○意識障害(非常に大量の場合)

慢性中毒(長期間の過剰摂取)

   ○頭痛・関節痛
   ○肝機能障害(肝腫大、肝炎)
   ○骨粗鬆症のリスク上昇(骨代謝が乱れる)
   ○脱毛
   ○貧血
   ○妊娠初期では胎児奇形のリスク(特に薬やサプリでの過剰摂取は注意)

ビタミンAを過剰に摂取した場合の皮膚への影響

  ○強い乾燥・かゆみを生じます。
  ○赤み・落屑(皮がむける)などがみられます。
  ○日光に対して敏感になります。(光線過敏)
  ○ひび割れ(特に唇や口角)が起きることがあります。
  ○経口摂取だけではなく、ビタミンAの外用薬を使いすぎた場合も同様の皮膚症状が出ます。

過剰摂取の原因例

  ○サプリメントの高用量長期服用
  ○ビタミンA含有薬(イソトレチノイン、トレチノイン)の過剰使用
  ○レバーの大量摂取(特に妊娠中は注意)

ポイント

 ○食事由来(βカロテン含む野菜中心)では中毒はほぼ起きません。
 ○中毒は動物性ビタミンA(レチノール型)や医薬品・サプリでの摂取に多くみられます。
 ○妊婦さんは胎児奇形のリスクがあるため、特に上限摂取量を守ることが大切です。

皮膚科・美容皮膚科でのビタミンAを使用するメリット

  

  ○毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの予防・改善があります。   
  ○メラニンの排出を促し、シミや色素沈着を薄くします。
  ○コラーゲン産生を高めハリや弾力をアップします。
  ○肌のきめを整え透明感を出します。

ビタミンAは皮膚のターンオーバーを促進するため、上記のような効果があり、”卵肌”を目指せる成分です。
保険診療でニキビ治療の外用薬に使われており、自費診療ではドクターズコスメにおいて美肌治療の主軸となる代表的な成分です。
海外ではニキビ治療の内服薬としても用いられています。
さらに、ビタミンAは「今ある悩み」だけでなく、「未来の老化」も予防します。
『A反応』というビタミンA特有の赤みやかさつきが出ることがありますので、怖いと思われる方もいらっしゃいますが、
正しく使用すれば、肌質を大きく変えることができうる成分です。
(A反応については第二弾以降で説明します。)


まとめ

ビタミンA脂溶性ビタミンで、肉・魚・卵・乳製品人参やほうれん草、かぼちゃなど緑黄色野菜に多く含まれます。
食事からのビタミンA摂取は、皮膚や粘膜目の健康に役立ちます。また、感染予防の効果もあります。
肌への効果としては、皮膚のターンオーバーを正常化するため、しみ・しわ・ニキビの改善に非常に有効です。
ビタミンAは不足しても、摂りすぎても問題です。バランスよく摂取しましょう。
特に妊婦さんは過剰摂取しないようにしましょう。

~第二弾~ではビタミンAのレチノールからトレチノインまでの変換や、ビタミンAの肌への効果について解説します。

監修医師

あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長

つつみ みどり