水溶性のビタミンCを「高濃度点滴」で大量に摂取する意味があるの?― 皮膚科専門医がエビデンスと現実的な使いどころを解説
はじめに|「結局、体外に排出されるのに、なぜ点滴?」という素朴な疑問
「ビタミンC🍋は水溶性だから、たくさん摂っても尿として排泄される」…
これは、どなたも一度は耳にしたことがある説明でしょう。
そのため、
「高濃度ビタミンC点滴は本当に意味があるのか?」
「毎日ビタミンCを食事で摂取すれば十分なのでは?」
と疑問をもつ方もいらっしゃいます。
一方で、医療現場では、高濃度ビタミンC点滴(IVC:Intravenous Vitamin C) が広く行われており、
「疲れにくくなった」「肌の調子が良い」「施術後の回復が早い」といった実感の声も少なくありません。
では実際のところ、水溶性のビタミンCを“点滴で大量に入れる”ことに医学的な意味はあるのか?について解説します。
ビタミンCは「毎日こまめに摂る」ことが基本である
まず大前提として、ビタミンCは毎日の継続摂取が極めて重要な栄養素です。
ビタミンCは、
〇水溶性である
〇体内に貯蔵されない
〇数時間で血中濃度が低下する
という特徴を持ちます。
そのため、一度に大量に摂取しても余剰分は腎臓から排泄され、皮膚・免疫機能・抗酸化作用といった日常の生理機能維持には、毎日80〜200mg程度を安定して摂取することが最も重要です。
高濃度ビタミンC点滴は、この「基礎摂取」を置き換えるものではありません。
↓ ビタミンC🍋の摂取量については過去のコラムをご参照ください。↓
それでも高濃度ビタミンC点滴が行われる理由
ポイントは「濃度依存性の作用」
ビタミンCには、一定の血中・組織濃度を超えないと十分に発揮されにくい作用があります。
通常の経口摂取では、小腸のSVCT1輸送体が飽和し、吸収率が頭打ちとなるため、血中濃度の上昇には限界があります。
一方、点滴では直接静脈内にビタミンCの成分を投与するため、消化管を通した分解・吸収が行われず、経口では到達できない高濃度状態を短時間で実現できます。
つまり、高濃度点滴は、「栄養補給」ではなく「薬理作用」を狙う方法なのです。
高濃度ビタミンC点滴の医学的エビデンス
抗酸化・抗炎症作用
紫外線、レーザー治療、慢性炎症などにより、皮膚では大量の活性酸素が発生します。
高濃度ビタミンCは、活性酸素を直接的に消去し、炎症性サイトカインを抑制する作用を示すことが報告されています。
このため、美容施術後の炎症・ダウンタイム軽減を目的とした併用には、理論的な裏付けがあります。
コラーゲン合成・創傷治癒への関与
ビタミンCは、プロリン、リシンの水酸化反応に必須であり、コラーゲン合成に欠かせません。
高濃度の環境では、線維芽細胞の活性化や創傷治癒の促進作用が一時的に強く起こる可能性が示されています。
レーザー、RF、ニードル治療後に高濃度ビタミンC点滴が用いられる理由の一つです。
免疫機能のサポート(生体防御の最適化)
ビタミンCは、免疫細胞の機能維持に必須の栄養素であり、好中球・マクロファージ・リンパ球など、自然免疫および獲得免疫の両方に関与しています。
特に、
●好中球の遊走・貪食能の維持
●活性酸素を用いた病原体処理後の、免疫細胞自身の酸化ダメージ抑制
●炎症が過剰に遷延するのを防ぐ調整作用
といった点が知られています。
がん領域での研究(過度な期待は禁物)
高濃度ビタミンC点滴は、がん補助療法としても研究されてきました。
腫瘍細胞に対する過酸化水素産生やQOL改善の可能性などが報告されていますが、標準治療の代替となるものではありません。
皮膚科専門医としての現実的な位置づけ
高濃度ビタミンC点滴は、
・全員に必要な治療ではない
・日常摂取の代わりにはならない
という一方で、
・美容施術後の炎症・酸化ストレスが強い方
・慢性的な疲労やストレスが強い方
・日常の栄養状態が整っている方
には、「上乗せ」「ブースト」として合理性がある治療です。
高濃度ビタミンC点滴のQ&A
Q1.ビタミンCは水溶性なのに、経口摂取以上に、点滴で大量に入れる意味はあるのですか?
A.はい、点滴治療は有意義です。ただし目的が異なります。
ビタミンCは水溶性で、通常量を超えた分は尿中に排泄されます。
そのため、日常の健康維持や美肌の「土台作り」には、毎日の経口摂取での継続が最も重要です。
一方、高濃度ビタミンC点滴は、短時間で非常に高い血中濃度を作ること自体を目的としています。
この濃度域では、強い抗酸化作用・抗炎症作用・コラーゲン合成の促進といった、通常の経口摂取では得にくい作用を期待できます。
毎日十分量を経口摂取した上で、必要に応じて高濃度ビタミンC点滴の施術を加えることが推奨されます。
Q2.美容皮膚科では、どんなときに併用されることが多いですか?
A.皮膚科領域では、主に以下のような場面で併用されます。
〇レーザー治療後
〇RF・ニードル治療後
〇赤みや炎症が出やすい方のダウンタイム対策 など。
美容施術後は、皮膚内で活性酸素が多く発生します。そのタイミングで高濃度ビタミンCを補うことで、回復をサポートすることができます。
(もちろん日焼け後の高濃度ビタミンC点滴は非常にお勧めです。)
Q3.しみや美白にはどのくらい効果がありますか?
A.高濃度ビタミンC点滴は、しみを直接消す治療法ではありません。
メラニン生成の抑制や既にできたメラニンの還元補助、炎症後色素沈着の予防の点で、レーザー治療や外用治療の効果を支える役割があります。
Q4.副作用やリスクはありますか?
A.医療機関で適切に管理すれば、安全性の高い治療法ですが、以下の点には注意が必要です。
・G6PD欠損症の方は禁忌
・腎機能障害がある場合は慎重に判断
・点滴時の血管痛や一時的なだるさ
そのため、事前に医師が適応を見極めることが重要です。
*G6PD欠損症”とは・・・
赤血球を酸化ストレスから守る酵素(グルコース-6-リン酸脱水素酵素)が先天的に少ない体質で、
特定の薬剤や高濃度ビタミンC点滴などによる強い酸化ストレスを受けると、溶血性貧血を起こす可能性がある遺伝性疾患です。
Q5.どれくらいの頻度で受けるものですか?
A.目的によって異なります。
・美容施術後のサポート:必要なタイミングのみ
・疲労・ストレス対策:1週間に1回〜月1回程度
「定期的に続けなければ意味がない」という治療ではありません。日焼け直後に色素沈着を早急に防ぐ目的などで、単発での投与もおすすめです。
Q6.どんな人に向いていますか?
A.向いているのは
・美容施術後の炎症が強く出やすい方
・強い紫外線ダメージや酸化ストレスがかかっている方
・日常の栄養管理がある程度できている方 です。
一方で、
・点滴だけに過度な効果を期待している
・日常の生活習慣が整っていない
などの場合は、優先順位を見直すこともあります。
まとめ|高濃度ビタミンC点滴は「特別な一手」
水溶性のビタミンCは、毎日こまめに摂取することが最も大切です。
その上で、必要な場面に限定して高濃度で用いるという選択肢があります。
〇栄養としてのビタミンC
〇薬理作用としてのビタミンC
この二層構造で理解することが、正しい付き合い方につながります。
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院では、外用・内服・点滴・美容施術を目的に応じて組み合わせる医療を行っています。
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そう感じたときは、ぜひ専門医にご相談ください。
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監修医師
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長
つつみ みどり