お電話 保険診療WEB予約 美容診療WEB予約

日焼け止めの正しい選び方と使い方①紫外線の種類(UVA・UVB・UVC)の違いについて解説【皮膚科専門医監修】

NoImage画像

~敏感肌・赤ちゃんにも安心の製品選び~

シミ・シワ・たるみといった光老化の原因の約80%は紫外線によるものといわれています。
さらに紫外線は皮膚癌のリスク因子でもあり、慢性的に浴び続けることで皮膚の細胞にDNA損傷が蓄積し、異型細胞が発現しやすくなります。

日焼け止めは単なる美容のためのアイテムではなく、”健康と命を守る毎日の習慣”なのです。


日焼け止めの効果を理解するためには、まず ”紫外線の種類” と ”防御指標” を知ることが大切です。

太陽光には大きく分けて
・紫外線(UV)
・可視光線(目に見える光)
・赤外線(熱として感じる光)
があります。その中で特に皮膚に影響するのが紫外線です。


紫外線は波長によって UVA・UVB・UVC に分けられます。

・波長が長く(320~400nm)、皮膚の真皮(皮膚の真ん中の層の深く)まで到達し、しわ・たるみなど「光老化」を引き起こします。
・曇りの日や窓ガラスも通り抜けるため、知らず知らず浴びてしまう紫外線です。


影響:UVAは皮膚への”長期的ダメージ”を起こす『生活紫外線』

 ・コラーゲンやエラスチンを破壊 → しわ・たるみ(光老化)
 ・メラノサイトを刺激 → 色素沈着(しみ)
 ・免疫抑制作用

UVAの良い点

一方でUVAには良い面もあり、体内時計を整えたり、気分を安定させたり(セロトニン分泌)するなどの作用もあります。

UVAを防ぐ力の指標日焼け止めのPA(Protection Grade of UVA)です。日焼け後すぐに肌が黒くなる「即時黒化」をもとに算出されています。


・エネルギーが強く(290〜320nm)、主に表皮(皮膚の浅い層)に作用し、赤くひりひり焼ける日焼け(サンバーン)を起こします。
・シミや皮膚がんの原因にも直結する紫外線です。

影響:UVBは肌への”急性ダメージ”を引き起こす『レジャー紫外線』

 ・光老化
 ・DNA損傷 → 皮膚癌の主因
 ・シミ・そばかす

UVBの良い点

一方でUVBにも良い面があり、皮膚でビタミンDをつくる大切な働きを担い、骨の健康に関わっています。

UVBを防ぐ力の指標日焼け止めのSPF(Sun Protection Factor)です。 日焼け止めを塗った状態で「どれだけ紅斑(日焼け)に耐えられるか」を示します。


 ・最も波長が短く、エネルギーが強い紫外線です。
 ・本来はオゾン層でほぼ完全に吸収され、地表には届きません。
 ・オゾン層の破壊で将来的にリスクが高まります。
 ・地表に届いた場合は、人や生物に強い細胞障害を起こします。

UVCの良い点

強い殺菌作用があるため、人工的に照射して「殺菌灯」や「医療用消毒」に利用されています。


オゾン層は、地球の「紫外線フィルター」といえる存在で、成層圏(地上約10〜50km)に存在する「オゾン(O₃)の層」です。
太陽からの紫外線(特にDNAを傷つけやすい波長:UVBとUVC)を吸収・遮断し、地表に降り注ぐ量を大幅に減らしてくれています。
オゾン層が破壊されると本来オゾン層が吸収してくれていた強い紫外線(特にUVB)が地表に届きやすくなることが問題です。

オゾン層破壊の原因

主にフロンガス(CFC:クロロフルオロカーボン)やハロンなど人間の生活や産業で人工的に作られた化学物質が大気中で分解され、塩素や臭素ラジカルが放出されることが原因です。
冷蔵庫・エアコンにおいて冷やすためのガスとして使用されたり、スプレー製品(整髪料、殺虫剤、塗料など)発泡スチロールの製造消火器(ハロン消火器)などで使用されたりしていました。
これらは、化学的に安定して分解されにくいため、地表付近ではほとんど変化せず、成層圏(高度10〜50km)まで上昇します。
そこで強い紫外線を浴びると分解され、塩素原子や臭素原子が遊離してオゾンを破壊してしまい、オゾンホール(オゾンが極端に少ない領域)が生じます。

オゾン層破壊の影響

●皮膚への影響
 ・UVBが増えることで、皮膚癌(特に基底細胞癌・扁平上皮癌・悪性黒色腫)のリスクが増加します。
 ・日焼けや光老化(しみ・しわ)が悪化します。
●眼への影響
 ・白内障など紫外線による水晶体の障害が増えます。
●免疫への影響
 ・紫外線は皮膚の免疫機能を低下させるため、感染症やウイルスに感染しやすくなります。
●環境への影響
 ・植物の成長やプランクトンなど海洋生態系へダメージを与えます。食物連鎖全体に波及する可能性があります。

現在はモントリオール議定書によって世界的に使用が規制され、多くの製品では 代替フロンが使われています。
しかし、代替フロンも温室効果ガスとして地球温暖化の問題があるため、新しい冷媒(CO₂、アンモニア、炭化水素など)への移行が進められています。

・私たちが「光」として見える領域です。
・一部の可視光線(特に青色光=ブルーライト)は肌の酸化ストレスを増やし色素沈着や老化に関与することが最近注目されています。
・生活リズムを整えたり、精神を安定させたりと良い作用もあります。


紫外線には一部で有用な側面もありますが、日常生活で浴びる紫外線は“百害あって一利なし” と言っても過言ではありません。
浴びすぎれば、しみ・しわ・たるみといった光老化を早めるだけでなく、皮膚癌のリスクも高めてしまいます。

だからこそ、毎日の紫外線対策は最高のアンチエイジングであり、健康を守る第一歩なのです。

日焼け止めの正しい選び方と使い方②のコラムではSPF/PAの正しい理解紫外線防御成分の種類などについて解説します。

監修医師

あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長

つつみ みどり