医療脱毛レーザー|熱破壊式と蓄熱式、どちらが向いている?
― あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 監修―
医療脱毛を検討されている方から、
「レーザー脱毛はどれも同じではないのですか?」
「熱破壊式と蓄熱式、結局どちらを選べばいいの?」
「子供でも受けられる医療脱毛はありますか?」
というご質問を日常診療で多くいただきます。
実は、医療脱毛レーザーは、照射の仕組みそのものが異なる2つの方式に分かれており、この違いを理解せずに費用面だけで選んでしまうと、
・思ったより痛みが強かった
・効果が出にくかった
・肌トラブルが起きた
といったミスマッチにつながることがあります。
本コラムでは、皮膚科専門医の立場から、熱破壊式レーザーと蓄熱式レーザーの違いを、「構造・作用機序・臨床的な向き不向き」まで踏み込んで解説します。
医療脱毛レーザーとは?
医療脱毛とは、医療用レーザーを用いて毛の再生機能を低下させる治療です。
医師の管理下でのみ使用が認められた高出力機器を使用するため、
・永久減毛が期待できる
・少ない回数で変化を実感しやすい
・皮膚トラブル時に医学的対応が可能
という点が、エステ脱毛(IPL)との本質的な違いです。
毛は「どこで作られているのか」
脱毛を理解するうえで重要なのが、毛の再生に関わる組織です。
<毛の再生に関与する主な部位> (重要…!!)
●毛乳頭 ・・・毛の成長を支える栄養供給部位 ← ”熱破壊式レーザー”がターゲットとする部位
●バルジ領域 ・・・毛を作る幹細胞が存在する“司令塔”部位 ← ”蓄熱式レーザー”がターゲットとする部位

※医療用の脱毛レーザーは黒いメラニン色素に反応するように設計されていますが、上記の毛乳頭やバルジ領域の組織そのものにメラニンが多いわけではありません。
レーザーが直接反応するのは「毛そのもの(毛幹・毛包内の毛)に含まれるメラニン」です。
医療レーザーは毛そのものに含まれるメラニンに反応し、その熱が毛乳頭やバルジ領域へ伝わることで、毛の再生機能を弱めます。
熱破壊式レーザー(HR: High Power)とは?
<作用機序>
熱破壊式レーザーは、”高出力”のレーザーを瞬間的に照射し、毛に含まれるメラニンを急速に加熱します。ターゲットは”毛乳頭”です。
・”高出力”のレーザーを瞬間的に照射すると、毛幹が高温になる
↓
・発生した熱が毛乳頭へ伝導
↓
・”毛乳頭”が不可逆的なダメージを受ける
という流れで脱毛効果が生じます。
<臨床的特徴>
・成長期(A2〜A3期)の毛が主な対象です。(なるべくここを狙う必要があります!!)
・太く濃い毛ほど反応が強く早く出ます✨
・1回ごとの変化が視覚的に分かりやすく満足感があります✨
✨毛周期においての成長期については下記コラムをご参照ください。↓✨
<注意点>
✓痛みが出やすく、部位によっては麻酔が必要です💦(特に男性のヒゲ)
✓日焼け肌・色黒肌では特に熱傷(やけど)のリスクがあります💦(熱破壊式そのものが高出力で行う方法なので、熱傷リスクは蓄熱式に比べ高いです。)
✓産毛では硬毛化を起こす可能性が蓄熱式より高まります💦
蓄熱式レーザー(SHR: Super Hair Removal)とは?
<作用機序>
蓄熱式レーザーは、低出力レーザーを連続的に照射する方法です。ターゲットは”バルジ領域”です。
・”低出力”レーザーを連続的に照射することで、毛包内の毛が繰り返しエネルギーを吸収
↓
・毛包全体の温度が段階的に上昇
↓
・”バルジ領域”の機能が低下
という形で脱毛効果を発揮します。
※高温で破壊するのではなく、毛を作るシステムそのものを弱める治療です。
<臨床的特徴>
〇毛周期を厳密に選ばない✨✨
〇痛みが非常に軽微✨✨(ヒゲ脱毛でも麻酔が不要な方が多い!)
〇産毛・うぶ毛にも対応しやすい✨✨
熱破壊式と蓄熱式の比較
| 項目 | 熱破壊式レーザー | 蓄熱式レーザー |
|---|---|---|
| 主な作用部位 | 毛乳頭 | バルジ領域 |
| 毛周期 | 成長期に行う事が理論上必須 | 影響を受けにくい |
| 痛み | 強く出やすい | 非常に軽い |
| 効果の出方 | 変化を早く実感 | 徐々に変化 |
| 太い毛 | ◎ | ○ |
| 産毛 | △ | ◎ |
| 硬毛化リスク | やや高い | 低い |
| 敏感肌・小児 | 制限あり | 対応しやすい |
熱破壊式と蓄熱式では脱毛回数は違う?
熱破壊式では約5-8回、蓄熱式では約6-10回と最終的な脱毛完了までの回数に大きな差はありません。
違いが出るのは、”変化を感じるまでのスピード”と”1回ごとの実感の強さ”です。
なぜ方式が違っても回数はほぼ同じなのか?
1.毛周期という生物学的な制約
体毛はすべて同時に生え変わっているわけではなく、「毛周期」と呼ばれるサイクルに従って成長しています。
実際にレーザーが反応するのは、成長期にある毛(全体の約20%前後)だけです。
どれほど高性能な医療レーザーであっても、1回の施術で反応できる毛の割合には限界があり、これは熱破壊式・蓄熱式いずれも共通です。
そのため、毛周期に合わせて複数回の照射が必要となり、結果として必要回数は5〜8回前後に落ち着きます。
2.ホルモンの影響
特にヒゲやVIOなどは、男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を強く受ける部位です。
レーザー照射により毛包にダメージを与えても、ホルモンの影響下では時間とともに再活性化する可能性があります。
この点も、照射方式に関係なく共通しており、「1回で完全に終わる脱毛」が医学的に難しい理由のひとつです。
3.医療脱毛としての安全設計
医療脱毛は、「できるだけ強く照射すればよい」という治療ではありません。
過度な熱エネルギーは、熱傷(やけど)、色素沈着、瘢痕(傷跡)、硬毛化のリスクを高めます。
そのため医療レーザーは、効果と安全性のバランスを重視した設計がなされており、1回あたりの照射エネルギーには上限があります。
この医学的制約も、方式による回数差が大きく出ない理由です。
効果の「実感」に違いが出る理由
〇熱破壊式レーザーの場合
『熱破壊式』は、毛乳頭や毛母細胞を高温で瞬間的に破壊する方式です。
施術後、比較的早い段階で毛が抜け落ちるため、1回ごとの変化を視覚的に感じやすい傾向があります。
〇蓄熱式レーザーの場合
『蓄熱式』では、毛包全体やバルジ領域に穏やかに熱を蓄積させ、毛を「生えにくい状態」へ導いていきます。
毛がすぐに抜け落ちないこともありますが、
・伸びる速度が遅くなる
・毛質が徐々に変化する
といった変化が、生活の中で少しずつ現れてきます。
最終的な減毛の効果については熱破壊式と蓄熱式とで差がありません😊
医師の視点からのまとめ
〇最終的な脱毛回数は、方式によって大きく変わらない
〇違いが出るのは「変化の現れ方」と「実感のタイミング」
〇部位・毛質・肌質によって、最適な方式は異なる
なぜ白毛にはレーザーが効かないのか?
レーザー脱毛は黒いメラニン色素をターゲットとして利用する治療です。
白毛は毛包内のメラニン量が極めて少ない、または産生が低下しているため、レーザーの反応が期待できません。
そのため、毛乳頭・バルジ領域へ影響を与えられず、脱毛効果をほとんど発揮できません。
まもなく当院が導入する医療脱毛レーザーについて「Motus AX」

当院では今後、厚生労働省承認の『蓄熱式』アレキサンドライトレーザー 「Motus AX」(モータスAX)を導入します✨
〇Motus AXは、アレキサンドライトレーザー(755nm)として初めて蓄熱式照射を実現しました。
〇痛みを最小限に抑えた設計✨
〇産毛・敏感肌にも配慮可能✨
〇硬毛化・熱傷(やけど)リスクを低減✨
〇小児の方でもご相談可能✨
といった特徴を持ち、皮膚科専門医の視点で安全性と継続性を重視した医療脱毛に適した機器です。
Q&A
Q.”熱破壊式”と”蓄熱式”レーザーはどちらを選べば失敗しませんか?
A. 毛質・部位・肌質によります。それぞれに良い特徴があります。カウンセリングでの医学的判断が重要です。
(当院が蓄熱式を採用しているからといって、熱破壊式が合いそうな方に蓄熱式を勧めることはありません。)
Q. ヒゲ脱毛には麻酔は必要ですか?
A. 『蓄熱式』では麻酔を使わずに行えるケースが多いですが、個人差があります。
一方、『熱破壊式』では痛みが非常に強いためヒゲ脱毛には麻酔が必須です。
Q. 他院で硬毛化しましたが再脱毛できますか?
A. 状態を診察のうえ、慎重に対応します。
Q. 小児でもレーザー脱毛はできますか?
A. 医療脱毛自体には年齢制限がありません。
お子様ご自身の強い希望があるか?、脱毛に関して理解できるか?、肌質や毛の状態はどうか?を医師が個別に判断して対応させて頂きます。
小児で産毛に近い場合は、将来的に再度脱毛治療が必要になってくることもあり得ます。
しかし、多感な時期で悩んでいらっしゃる場合は、心理面にも寄り添った個々の対応が必要です。
レーザーを選択する場合はより肌に優しい『蓄熱式レーザー』の選択をお勧めします。
お悩みの方は一度ご相談ください。
皮膚科専門医としてのまとめ
医療脱毛は、「どのレーザーが強いか」ではなく 「どの方式が安全で個々に合っているか」が重要です。
〇医療脱毛レーザーには熱破壊式(HR: High Power)と蓄熱式(SHR: Super Hair Removal)があります。
〇太い毛・濃い毛には熱破壊式レーザー、痛みが苦手な方や産毛には蓄熱式が向いています。
〇白毛はどちらもレーザーでは反応せず、針脱毛が必要です。
〇当院の蓄熱式レーザー「Motus AX」は安全で痛みが少なく、幅広い毛質に対応しています。
ご興味のある方はご相談ください。(医療脱毛については2026年2月中旬から開始予定です。)
✨ ✨ 自由診療のカウンセリング予約はこちら↓✨✨
監修医師
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長
つつみ みどり