お電話 保険診療WEB予約 美容診療WEB予約

美容診療 /

女性男性型脱毛症(FAGA)とは?

女性の薄毛はFAGA(Female Androgenetic Alopecia):女性男性型脱毛症と呼ばれ、髪が細くなり全体のボリュームが徐々に減少していく進行性の脱毛症です。
男性型脱毛(AGA)と同じくDHT(ジヒドロテストステロン)の影響によって毛包が縮小することでも起こりますが、女性では広範囲で均一に髪が細くなることが特徴です。
更年期に多発しやすく、男性ホルモンとは関係ない場合もあり、現在は男性型脱毛症よりも「女性型脱毛症(female pattern hair loss)」という病名を用いることが多くなっています。

よく見られる初期症状

  ・分け目が広がってきた
  ・頭頂部の地肌が透けやすい
  ・髪にハリ・コシがなくなった
  ・美容室で「髪の量が減った」と言われた など

一度細くなった毛は、早期介入の有無で将来の回復力が大きく変わります。

FAGAが起こるメカニズム

FAGAとAGAはともに毛周期のうち、成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなる、というパターン化された脱毛症です。

健康な髪は、以下のサイクルを繰り返しています。
  ○成長期(2〜6年):毛母細胞が活発に働き、太く長い毛が育つ。
  ○退行期(2〜3週間):毛母細胞の活動が弱まり、毛が成長を止める。
  ○休止期(数か月):毛が抜け、次の毛に生え変わる。

FAGAでもAGAと同様に、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、体内の酵素 5α-リダクターゼ により
活性型の男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることが大きな原因の一つです。
DHTがDHT感受性の高い毛包で作用すると成長期が短縮し、髪が細いまま抜けやすくなります。(軟毛化)

特に女性では、5α-リダクターゼ
  ●Ⅱ型酵素:前頭部・頭頂部の毛包に多い → 中心性のボリューム低下
  ●Ⅰ型酵素:皮脂腺・側頭部・後頭部に広く分布 → 全体のハリ低下
が組み合わさり“全体がさみしくなる”印象につながります。

AGA男性型脱毛はこちら↓

なぜ女性はFAGAを発症しやすいのか?

  <原因因子>                 <説明>
遺伝(毛包のホルモン感受性)       母方に薄毛傾向がある場合、発症しやすい
加齢・更年期に伴うエストロゲン低下     成長期が短くなり、髪が細くなる
栄養不足(特に亜鉛、鉄・フェリチン)    日本人女性に極めて多い
頭皮環境ストレス              紫外線・皮脂・摩擦・ストレス

特に、亜鉛やフェリチン低値(鉄不足による貧血)とFAGAの進行には強い相関があります。
また、女性の脱毛症においては、休止期脱毛、膠原病や甲状腺疾患などの全身性疾患に伴う脱毛、急激なダイエット、ホルモン補充療法や薬剤による脱毛などを除外する必要があります。
当院では必要に応じて血液検査を行い、体内状態を確認した上で治療を進めます。

FAGAの治療法

男性のAGAではフィナステリドやデュタステリドの内服という特効薬がありますが、女性では使用しません。
(閉経後の女性に投与する医療機関もありますが、当院では男性のみへの投与であり、女性には行っておりません。)
また、男性ホルモンの作用を抑制するためにFAGAにスピロノラクトン内服を行う場合もありますが、当院ではそちらも行っておりません。
FAGAでは下記の治療を行います。

ミノキシジルはAGA・FAGAともに治療の基本となる「発毛促進薬」であり、外用薬においてはガイドラインで推奨度Aに治療法です。(行うよう強く勧められる)
ミノキシジルは、もともと高血圧治療薬として開発された血管拡張薬ですが、副作用として「体毛が濃くなる(多毛症)」ことが報告され、その後「発毛効果」を目的とした外用剤が開発されました。
現在、世界中でAGA・FAGA治療に用いられ、日本でも外用薬が承認されています。(例:リアップ®シリーズ)
ガイドラインでは女性に1%を勧められていますが、濃度が高い方が発毛効果をより期待できるため、1%を使用してかぶれの副作用がなければ2%まで濃度を上げて使用されることが多いです。

Regaine2%を導入しました!!

当院では、AGAやFAGAの治療法としてガイドラインでも推奨度Aのミノキシジル外用剤として、リゲイン(ロゲイン)2%を導入しました!!
ガイドラインでは女性は1%を推奨されています(男性では5%)が、かぶれの副作用がなければ2%の方が高い効果を得られます。

*ミノキシジルの内服薬は安全性の観点から男女ともに勧められていません。

ミノキシジルの作用機序(どのように効くのか)

血管拡張作用
ミノキシジルは頭皮の毛細血管を拡張し、毛母細胞への酸素・栄養供給を増やすことで、毛の成長環境を整えます。

毛包細胞の活性化
毛包(毛根)の幹細胞や毛乳頭細胞を刺激して、成長期を延長させることがわかっています。これにより、太く長く成長する「健全な毛」が育ちやすくなります。

ATP感受性K⁺チャネル開口作用
細胞膜のカリウムチャネルを開くことで、毛乳頭細胞の活性を高め、毛の再生シグナルを促進します。

副作用・注意点

頭皮の痒み、赤み、接触皮膚炎などの刺激作用、毛包炎、顔の多毛などがあります。

女性では特に「Ogshi(オグシ)」のサプリメントが推奨され、当院でも取り扱っています。
以前はパントガールという海外から輸入されたサプリメントが主流でしたが、「Ogshi(オグシ)」は日本人女性向けに開発された国内で生産された毛髪サプリメントで、安心な商品です。
日本人女性では亜鉛不足に加えて、特に鉄分が足りないことが指摘されています。
Ogshi(オグシ)は毛髪・爪の発育に関わるL-シスチン・L-メチオニンなどのアミノ酸を含む栄養素を補うとともに、鉄欠乏対策を重視した配合が特徴的です。
女性だけではなく、男性の方にも安心して服用して頂けるサプリメントです。
爪の栄養分が不足している方にも役立ちます。

一般名はカルプロニウム塩化物(Carpronium Chloride)で、分類は血管拡張薬・コリン作動薬です。
円形脱毛症、びまん性脱毛症、症候性脱毛症などの脱毛症治療や尋常性白斑に保険適応があります。
AGA・FAGA診療ガイドラインでは推奨度C1(行ってもよい)の位置づけです。


フロジン液は単独使用では穏やかな効果ですが、ミノキシジル・LED・サプリメントなどの併用で相乗効果が期待できます。
頭皮の血行不良型の脱毛症(冷え・ストレス・更年期)に特に有効です。
長年、保険適応として使われており、皮膚への刺激が少なく、女性や高齢者の方でも安心して使えるので、脱毛症の治療においてよい選択肢の一つと考えられます。

主な作用

カルプロニウムは副交感神経を刺激するコリン作動薬であり、頭皮の血管を拡張させる働きにより、毛根への血流を増加させます。

  ●頭皮の血流改善 → 酸素と栄養が毛乳頭に届きやすくなります。
  ●毛母細胞の活性化 → 成長期の毛を維持し、抜け毛を減らします。
  ●頭皮環境の改善 → 血行促進により、頭皮温度が上がり、代謝が活性化します。

使用方法

1日1~2回、気になる部分の頭皮に塗布して軽くマッサージします。洗髪後や就寝前の使用が効果的です。
ミノキシジル外用との併用も可能で、AGA・FAGA治療ではこの2剤を組み合わせて使用するケースも多いです。(例:朝フロジン、夜:ミノキシジルなど)

ミノキシジルとの違い

<特徴>       <フロジン液>              <ミノキシジル>
主な作用     血管拡張・自律神経刺激      ATP開口チャネル作用による毛母細胞刺激
適応       円形脱毛症、AGA、FAGA            AGA・FAGA
効果の中心    頭皮血流改善              発毛促進(毛母細胞活性)
保険適用     あり(円形脱毛症など)            なし(自由診療)
副作用      痒み、かぶれ              痒み、かぶれ、毛包炎など

フロジン液は発毛を「促進する」というより、“毛根が育ちやすい環境づくり”に役立つお薬です。

副作用・注意点

  ●一時的な頭皮のかゆみ・赤み・ほてり感、稀に接触皮膚炎など。
  ●目に入ると強い刺激を感じるので注意してください。
  ●頭皮に傷がある場合は使用を控えてください。

女性の薄毛治療では、外用薬や内服薬に加えて、頭皮環境を整え、毛乳頭や毛包の働きを活性化させる光治療が有効な選択肢の一つです。
侵襲が少なく、安全に継続できる治療としてガイドラインでも推奨されています。
LEDや低出力レーザー(赤色光・近赤外線)を頭皮に照射することで、毛乳頭・毛母細胞の代謝を活性化し、毛周期を整え、発毛・育毛を支援する方法です。
週2〜3回、3ヶ月以上の継続使用で脱毛抑制や発毛促進が期待されます。自宅でも応用が利くのがよい点です。
どの治療機器が最も効果が高いか?や、最適な波長・強さについてなどはまだ定められていませんが、効果と安全性の面からガイドラインでの推奨度はB(行うように勧める)です。

LED治療

LEDの中でも赤色光(波長630–680nm前後)は、毛包周囲のミトコンドリアに作用し、エネルギー産生(ATP生成)を高めます。
その結果、毛母細胞の活動が活発になる、毛周期が「成長期」に戻りやすくなる、頭皮の血行が改善する、といった効果が期待できます。
自宅用では「ヘルメット型」「キャップ型」「ミラー/パネル型」などが市販されています。
例えば、ヘルメット型デバイスでは「毎日10分/12週間の使用で髪密度が改善した」という臨床データも報告されています。

低出力レーザー治療(LLLT:Low-Level Laser Therapy)

LEDとの違いは、光の出力と照射の直進性にあります。レーザー光はより深い層まで届き、毛包上部の「バルジ領域」や毛乳頭の活性化に働きかけます。
低出力レーザーにより毛乳頭細胞の増殖促し、皮膚血管の拡張による血流改善させ、炎症(頭皮ストレス)を抑える作用があります。
LED/LLLTは土台を整えて、発毛治療の効率を高める役割」であり、単独よりミノキシジル外用などの組み合わせで効果が高まります。
特に、休止期脱毛を併発している場合、薬剤を強く使いにくい時期(妊娠授乳中・薬剤感受性が敏感な方)で優れた治療選択肢となります。

LED、低出力レーザー照射療法の効果の目安
<期間 >        <頭皮・毛の変化>
1〜2ヶ月       抜け毛の減少、洗髪時に気づきやすい
3〜4ヶ月       髪にハリ・立ち上がりが出やすい
6ヶ月以降       髪の密度改善、分け目やつむじの透け感が軽減

継続がとても大切です。毛周期はゆっくり変化しますが、確実に積み重なります。

アデノシン(adenosine)は国内外の臨床試験でミノキシジルと同等の効果を持ちながら副作用が少ない育毛成分であることが報告されています。
毛髪が太くなる、密度が増すなどの効果が期待できる一方、かゆみや赤みの副作用が少ないことが知られています。
アデノシンの女性に対する効果はまだ根拠が不足しており、ガイドラインでの推奨度はC1ですが、安全面から男女ともに使用可能です。
日本では医薬部外品または化粧品扱いとして、資生堂などから販売されています。(例:アデノゲンシリーズ)

アデノシンは、体内にもともと存在するプリンヌクレオシドで、細胞のエネルギー代謝(ATPの構成成分)や、血流調整・炎症制御などに関わっています。
外用として使用する場合、アデノシンは毛乳頭細胞や毛母細胞に働きかけて毛の成長を促す作用を持ちます。

アデノシン外用の毛包内での作用機序(メカニズム)

(1)毛乳頭細胞の増殖促進
アデノシンが毛乳頭細胞のアデノシンA2受容体を刺激すると、細胞内で成長因子(FGF-7, VEGF)の産生が増加します。
➡ 結果:毛母細胞の増殖が促進され、成長期(anagen)が延長します。

(2)血流促進作用
アデノシンには血管拡張作用があり、頭皮の微小血流を改善して毛包への栄養供給を高めます。
➡ ミノキシジルと似た経路ですが、作用が穏やかで刺激が少ないのが特徴です。

(3)DHT(ジヒドロテストステロン)との関係
アデノシンは直接的に5α-リダクターゼを阻害するわけではないものの、毛包の局所環境を改善し、DHTによる毛包萎縮を間接的に抑制すると考えられています。

ミノキシジルとの比較

<特徴>     <ミノキシジル>         <アデノシン>
主な作用    血管拡張・成長期延長       成長因子産生促進・血流改善
作用点     ATP依存K⁺チャネル活性化      A2受容体刺激
効果発現    約3〜6か月            約3〜6か月
副作用     かゆみ・接触皮膚炎・多毛     ほとんどなし
男女使用    男性用・女性用で濃度区分あり   男女ともに使

FAGA(女性型脱毛症)の Q&A

Q1. いつから治療を始めるべきですか?

「髪が細くなってきた」「分け目が広がってきた」と感じた段階が治療開始の目安です。
FAGAは自然に回復することは少なく、早期に介入するほど、元の毛密度に近づけることが可能です。

Q2. 治療の効果はどのくらいで実感できますか?

毛包のライフサイクルに合わせ、効果の実感は3~6か月が目安です。
まず「抜け毛の減少」→「髪のハリ・コシ改善」→「密度回復」の順に変化します。

Q3. 治療をやめるとどうなりますか?

治療で維持されていた髪の成長期が再び短縮するため、徐々に元の脱毛傾向へ戻ります。
これは「依存」ではなく「進行性疾患に対する維持治療」という理解が適切です。

Q4. 生活習慣で気をつけることはありますか?

髪は「体調の指標」です。過度なダイエットを避け、タンパク質と鉄を十分に摂取しましょう。
また、紫外線対策と頭皮の保湿、過剰な頭皮マッサージや摩擦を避け、睡眠のリズムを整えることも大事です。

まとめ

FAGAは 進行する脱毛症 であり、自然回復は困難です。早期治療が、将来の「髪の密度」を左右します。
当院では、必要に応じて血液データに基づく医学的治療でのアプローチ により、髪の成長力を最大化します。
女性の薄毛でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

監修医師

あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長

つつみ みどり