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AGAとは?

AGA(Androgenetic Alopecia、男性型脱毛症)は、男性ホルモンの作用によって頭頂部や前頭部の髪が徐々に細くなり、抜け毛が増える進行性の脱毛症です。
日本人男性では、成人男性の約3人に1人が何らかの形でAGAを発症するといわれています。

一方、女性では女性男性型脱毛症(FAGA:Female Androgenetic Alopecia)と呼ばれ、男性とは異なり、頭頂部の広い範囲で髪が薄くなります。
更年期に多く見られ、男性ホルモンに依存しないケースもあります。

AGAの原因とメカニズム

健康な髪は、以下のサイクルを繰り返しています。
  ○成長期(2〜6年):毛母細胞が活発に働き、太く長い毛が育つ。
  ○退行期(2〜3週間):毛母細胞の活動が弱まり、毛が成長を止める。
  ○休止期(数か月):毛が抜け、次の毛に生え変わる。

AGAは毛周期のうち、成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなる、というパターン化された脱毛症です。(これはFAGAでも同様です。)

AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、体内の酵素 5α-リダクターゼ により 活性型の男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることです。
このDHTは、思春期以降に男性らしさを作る一方で、頭髪の毛根(毛乳頭細胞)にあるアンドロゲン受容体と結合すると、髪の成長期が短くなり、髪が十分に太く育つ前に抜けてしまうようになります。
(軟毛化・ミニチュア化現象)
結果として、前頭部や頭頂部の毛が細く、地肌が目立つようになるのです。
つまり、「DHT=悪者」ではなく、「DHTが特定の部位の毛包で過剰に働くこと」が問題です。

AGAが起こりやすい年齢、部位、傾向

発症は 20代後半〜30代 に多く、加齢とともに進行します。

<特徴的なパターン>


 ●M型(額の生え際):こめかみが後退するタイプ
 ●O型(頭頂部):つむじ付近が薄くなるタイプ
         両方が進行して結合することもあります。

<発症しやすい人の傾向>

遺伝的要因が強く、家族に薄毛の方がいる場合、発症リスクが高い傾向にあります。生活習慣の乱れも、AGAを進行させる要因の一つです。

  ・家族にAGAの人がいる方(遺伝傾向)
  ・頭皮の皮脂分泌が多い方
  ・慢性的なストレス:自律神経の乱れにより頭皮の血流が低下します。
  ・睡眠不足:成長ホルモンの分泌が低下します。
  ・食生活の乱れ:高脂肪・糖質過多の食事は皮脂腺からの酵素活性を促します。
  ・運動不足・喫煙:血流の低下や血管収縮による酸素・栄養供給不足を引き起こします。

これらにより毛母細胞の代謝が低下し、DHTの影響がより強く出てしまいます。

AGAの治療法

AGAの治療法は、「活性型の男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)を減らす」+「毛根部の環境を整える」ことを目的とします。

治療アプローチ代表的治療法主な作用
活性型男性ホルモン(DHT)の抑制フィナステリド、デュタステリドの内服5α-リダクターゼを阻害しDHTを減らす
毛母細胞の刺激ミノキシジル外用、アデノシン外用血管拡張・成長期の延長
頭皮の血流改善ミノキシジル(外用)、アデノシン外用、フロジン液、LED治療、マッサージ酸素・栄養供給を改善
栄養サポート亜鉛・鉄・ビタミン・「オグシ」など毛母細胞の代謝を補う

AGA治療の中心は「内服薬」!!

AGA治療において、日本皮膚科学会における”男性および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版”で推奨度A(最も高い推奨)とされるものは、
男子型では5α還元酵素阻害薬に薬効分類されるフィナステリド(プロペシア®)デュタステリド(ザガーロ®)です。
(女性では推奨度D:行うべきではない、とされます。)

~5α-リダクターゼの種類と局在~

5α-リダクターゼには、主に2つのタイプが存在します。
 ●Ⅰ型:皮脂腺、前頭部・側頭部の頭皮、顔のTゾーン、背中や前胸部、肝臓や脳などに存在し、皮脂分泌・炎症に関与します。
  (額とこめかみが脂っぽくなる方や顔の思春期のニキビ、体のニキビの理由の一つです。)
 ●Ⅱ型:前立腺、前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に多く存在します。

AGAでは特にⅡ型が関与しており、この酵素が活性化するとDHTが増え、これが前頭部や頭頂部の毛根に強く影響し、脱毛が進行します。
つまり、AGA治療においては、5α-リダクターゼの”Ⅱ型”をブロックすることが重要です!🌟

男性ホルモンをDHTに変換する酵素「5α-リダクターゼ”Ⅱ型”」を抑え、脱毛の進行を食い止める作用があります。

Ⅰ型”と”Ⅱ型” 両方の5α-リダクターゼを抑えるため、より広い範囲でDHT生成を抑制できます。

■ フィナステリドとデュタステリドの違い

成分名阻害する酵素特徴効果部位
 フィナステリド
 (プロペシア®)
5α-リダクターゼⅡ型のみAGAの基本治療薬主に前頭部・頭頂部
 デュタステリド
 (ザガーロ®)
5α-リダクターゼのⅠ型+Ⅱ型の両方より広範囲・強力にDHTを抑制前頭部〜後頭部にも作用

どちらもDHTの生成を抑えることでAGAの進行を止めますが、デュタステリドは後頭部を含めた広い範囲に効果が期待できます
なお、両薬剤ともに前立腺特異抗原(PSA)値を約半分に低下させる作用があるため、前立腺がん検診を受ける際には見逃しがないように必ず医師に服用を申告して下さい。

副作用について

副作用は少ないものの、次のような報告があります。

  ・性欲減退・勃起不全(1〜2%前後)
  ・肝機能の変化(まれ)
  ・デュタステリドでは乳房の張り感など

重篤な副作用はまれですが、定期的な血液検査・医師の管理のもとで継続することが大切です。

フィナステリドやデュタステリドの治療はいつまで続けるの?

AGAは進行性のため、服用をやめると再びDHTが生成され、半年〜1年で再び脱毛が進行します。
「治す」よりも「進行を抑える」「維持する」ことを目的とした長期治療が基本です。

AGAの内服薬の効果の判定は半年後に行います。
この際に、より増毛を認めていれば非常に喜ばしいことですが、脱毛が進行していない、という状況も高く評価されます。

その他の治療法― 相乗効果を高めるケア

AGAの改善には、薬剤だけでなく血流促進・栄養補給・外用治療を組み合わせることが重要です。
    <治療法>               <特徴>
ミノキシジル・アデノシン外用   血流促進により発毛をサポートします。(男女とも使用可能)
POTENZA・メソセラピー      成長因子を頭皮に直接注入して毛根を刺激します。
LED・低出力レーザー        安全性が高く、自宅ケアにも応用可能です。
自毛植毛            永続的効果を得られる一方、高額で侵襲的な治療です。

ミノキシジルはAGA治療の基本となる「発毛促進薬」であり、外用薬においてはガイドラインで推奨度Aに治療法です。
(フィナステリド内服やデュタスリド内服と並んで、行うよう強く勧められている治療法です。)
女性男性型脱毛症(FAGA)に対してもミノキシジル外用は推奨度Aです。

ミノキシジルは、もともと高血圧治療薬として開発された血管拡張薬です。
1970年代に内服薬として使用されていた際、副作用として「体毛が濃くなる(多毛症)」ことが報告され、その後「発毛効果」を目的とした外用剤が開発されました。
現在、世界中でAGA治療に用いられ、日本でも外用薬が承認されています。市販薬ではリアップ®、スカルプDメディカルミノキ5®などがあります。

ミノキシジルの作用機序(どのように効くのか)

血管拡張作用
ミノキシジルは頭皮の毛細血管を拡張し、毛母細胞への酸素・栄養供給を増やすことで、毛の成長環境を整えます。

毛包細胞の活性化
毛包(毛根)の幹細胞や毛乳頭細胞を刺激して、成長期を延長させることがわかっています。これにより、太く長く成長する「健全な毛」が育ちやすくなります。

ATP感受性K⁺チャネル開口作用
細胞膜のカリウムチャネルを開くことで、毛乳頭細胞の活性を高め、毛の再生シグナルを促進します。

ミノキシジルの使用形態と濃度

分類用法主な対象濃度特徴
 外用薬
(市販・医療用)
頭皮に直接塗布男性女性男性5~15%、女性1〜2%AGA/FAGAの第一選択薬。副作用少なめ。
 内服薬
(未承認)
内服主に男性2.5〜5mg/日効果は高いが全身の副作用に注意。内服については未承認であり勧められない。

日本では厚労省が外用薬のみを承認しています。(例:リアップ®シリーズ)
ガイドラインでは、男性ではミノキシジル5%、女性ではミノキシジル1%が推奨されています。

副作用・注意点

ミノキシジルの外用は濃度が高い方が発毛効果をより期待できる場合もありますが、高ければ高いほどよいというわけではなく、
副作用(頭皮の痒み、赤み、接触皮膚炎などの刺激作用、毛包炎、顔の多毛など)があります。

ミノキシジルの内服は? 推奨度D

一方、ミノキシジルの内服については推奨度Dであり、行うべきではない、とされています。
副作用にうっ血性心不全やむくみ、胸痛、心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難などの重篤なものがあります。最も多いのは全身の多毛症です。
ミノキシジルの内服では発毛効果は高いものの、治療によるメリットと安全性が十分に判明していないため、勧められていません。

一般名はカルプロニウム塩化物(Carpronium Chloride)で、分類は血管拡張薬・コリン作動薬です。
円形脱毛症、びまん性脱毛症、症候性脱毛症などの脱毛症治療や尋常性白斑に保険適応があります。
AGA・FAGA診療ガイドラインでは推奨度C1(行ってもよい)の位置づけです。


フロジン液は単独使用では穏やかな効果ですが、ミノキシジル・LED・サプリメントなどの併用で相乗効果が期待できます。
頭皮の血行不良型の脱毛症(冷え・ストレス・更年期)に特に有効です。
長年、保険適応として使われており、皮膚への刺激が少なく、女性や高齢者の方でも安心して使えるので、脱毛症の治療においてよい選択肢の一つと考えられます。

主な作用

カルプロニウムは副交感神経を刺激するコリン作動薬であり、頭皮の血管を拡張させる働きにより、毛根への血流を増加させます。

  ●頭皮の血流改善 → 酸素と栄養が毛乳頭に届きやすくなります。
  ●毛母細胞の活性化 → 成長期の毛を維持し、抜け毛を減らします。
  ●頭皮環境の改善 → 血行促進により、頭皮温度が上がり、代謝が活性化します。

使用方法

1日1~2回、気になる部分の頭皮に塗布して軽くマッサージします。洗髪後や就寝前の使用が効果的です。
ミノキシジル外用との併用も可能で、AGA治療ではこの2剤を組み合わせて使用するケースも多いです。(例:朝フロジン、夜:ミノキシジルなど)

ミノキシジルとの違い

<特徴>       <フロジン液>              <ミノキシジル>
主な作用     血管拡張・自律神経刺激      ATP開口チャネル作用による毛母細胞刺激
適応       円形脱毛症、AGA、FAGA            AGA・FAGA
効果の中心    頭皮血流改善              発毛促進(毛母細胞活性)
保険適用     あり(円形脱毛症など)            なし(自由診療)
副作用      痒み、かぶれ              痒み、かぶれ、毛包炎など

フロジン液は発毛を「促進する」というより、“毛根が育ちやすい環境づくり”に役立つお薬です。

副作用・注意点

  ●一時的な頭皮のかゆみ・赤み・ほてり感、稀に接触皮膚炎など。
  ●目に入ると強い刺激を感じるので注意してください。
  ●頭皮に傷がある場合は使用を控えてください。

髪の材料を補うことで治療効果を支えます。
当院で取り扱う「Ogshi(オグシ)」は日本人女性向けに開発された毛髪サプリメントです。

毛髪・爪の発育に関わるL-シスチン・L-メチオニンなどのアミノ酸を含む栄養素を補うとともに、鉄欠乏対策を重視した配合が特徴とされています。
(日本人では亜鉛不足に加えて、鉄分が足りないことが指摘されています。)
女性だけではなく、男性の方にも安心して服用して頂けるサプリメントです。
爪の栄養分が不足している方にも役立ちます。

低出力レーザーやLED光を頭皮に照射して毛母細胞を刺激し、毛包の血流改善・毛母細胞の活性化を図って毛周期を整える治療法です。
侵襲が少なく、安全に継続できる治療としてガイドラインでも推奨されています。
週2〜3回程度の使用で脱毛抑制や発毛促進が期待されます。自宅でも応用が利くのがよい点です。
どの治療機器が最も効果が高いか?や、最適な波長・強さについてなどはまだ定められていませんが、効果と安全性の面からガイドラインでの推奨度はB(行うように勧める)です。

アデノシン(adenosine)は国内外の臨床試験でミノキシジルと同等の効果を持ちながら副作用が少ない育毛成分であることが報告されています。
毛髪が太くなる、密度が増すなどの効果が期待できる一方、かゆみや赤みの副作用が少ないことが知られています。
ガイドラインでの推奨度は、AGAにおいてB(男性には行うよう勧める)、FAGAではC1(女性は行ってもよい)です。

アデノシンは、体内にもともと存在するプリンヌクレオシドで、細胞のエネルギー代謝(ATPの構成成分)や、血流調整・炎症制御などに関わっています。
外用として使用する場合、アデノシンは毛乳頭細胞や毛母細胞に働きかけて毛の成長を促す作用を持ちます。

アデノシン外用の毛包内での作用機序(メカニズム)

(1)毛乳頭細胞の増殖促進
アデノシンが毛乳頭細胞のアデノシンA2受容体を刺激すると、細胞内で成長因子(FGF-7, VEGF)の産生が増加します。
➡ 結果:毛母細胞の増殖が促進され、成長期(anagen)が延長します。

(2)血流促進作用
アデノシンには血管拡張作用があり、頭皮の微小血流を改善して毛包への栄養供給を高めます。
➡ ミノキシジルと似た経路ですが、作用が穏やかで刺激が少ないのが特徴です。

(3)DHT(ジヒドロテストステロン)との関係
アデノシンは直接的に5α-リダクターゼを阻害するわけではないものの、毛包の局所環境を改善し、DHTによる毛包萎縮を間接的に抑制すると考えられています。

製剤・使用法

日本では医薬部外品または化粧品扱いとして、資生堂などから販売されています。(例:アデノゲンシリーズ)

  ・主成分:アデノシン 0.75〜1% 程度 
  ・用法:1日2回、頭皮に塗布・マッサージ
   男女ともに使用可能です。

アデノシンの女性に対する効果はまだ根拠が不足しており、ガイドラインでの推奨度はC1ですが、
実際には「刺激が少ないミノキシジル代替成分」として女性患者さんに使われることもあります。

ミノキシジルとの比較

<特徴>     <ミノキシジル>         <アデノシン>
主な作用    血管拡張・成長期延長       成長因子産生促進・血流改善
作用点     ATP依存K⁺チャネル活性化      A2受容体刺激
効果発現    約3〜6か月            約3〜6か月
副作用     かゆみ・接触皮膚炎・多毛     ほとんどなし
男女使用    男性用・女性用で濃度区分あり   男女ともに使用可

カビ(真菌)に対する治療薬で、脱毛症にも効果がある場合があります。
市販されているシャンプーや脂漏性皮膚炎などにで保険適応の外用薬(ローションやクリーム)があります。
基本的にはマラセチアというカビが脂漏性皮膚炎をおこし、それが脱毛の悪化要因である場合に効くと考えられます。
マラセチアは誰でもいるカビであり、上半身、特に頭頚部に多く、脂漏性皮膚炎としてフケや赤みを引き起こします。
(マラセチア毛包炎というにきびの原因菌にもなります。)
カビに限らず、例えばアトピー性皮膚炎による湿疹などで頭皮の毛根部に強い炎症が生じている場合にも脱毛を呈することがよくあります。
フケ(落屑)があれば必ず脂漏性皮膚炎というわけでもないので、どなたにでも効く療法ではありませんが、
刺激症状も少ないため、ガイドラインでは男女ともに推奨度C1(行ってもよい)という位置づけです。

自家植毛術はフィナステリドやデュタステリドの内服、ミノキシジル外用などの推奨度Aの治療法を十分に行っても効果が出ない場合に検討される治療法です。
ガイドラインではAGAへの推奨度B(男性では行うよう勧める)、FAGAではC1(行ってもよい)、人工植毛術は男女ともにD(行うべきではない)とされます。

自家植毛術とは

患者さん自身の毛髪を、主に後頭部の脱毛しにくい部位から採取し、薄毛部分(前頭部・頭頂部など)へ移植する外科的治療です。
“自家”=自分の毛を使うため、拒絶反応がなく、移植された毛が生着すれば生え続けることが大きな特徴です。

なぜ「後頭部」の毛を使うのか?

AGA(男性型脱毛症)では、DHT(ジヒドロテストステロン)の影響で前頭部・頭頂部の毛包が萎縮しますが、
後頭部や側頭部の毛包はDHTの影響をほとんど受けません。
これは、後頭部の毛乳頭細胞に存在する5α-リダクターゼⅡ型の活性が低く、DHT感受性が極めて弱いからです。

そのため、後頭部の毛包を採取して移植すると、移植先でも“もとの性質”を保ち、脱毛しにくい毛として定着します。
この性質を「ドナー・ドミナンス(donor dominance)」と呼びます。

自家植毛とAGA治療薬の併用

植毛後も、周囲の既存毛(移植していない部分)はDHTの影響で細くなっていくため、フィナステリドやデュタステリドなどの内服を併用するのが一般的です。
移植毛はDHTの影響を受けにくいですが、既存毛を守る目的で併用治療が推奨されます。

女性の薄毛(FAGA)にも効果がある 推奨度C1

女性でもFAGAが進行した症例では、びまん性でない限局的な薄毛部位に対して自家植毛を行うことがあります。
ただし、女性の場合は後頭部の毛量が少ないケースも多く、ホルモンバランス変動による再脱毛の可能性があるため、慎重な適応判断が必要です。

自家植毛術のメリットとデメリット

項目メリットデメリット
 効果 永久的に生える 定着まで時間がかかる
 安全性 自毛使用で拒絶なし 手術侵襲あり
 費用 一度で効果が長持ち保険適用外で高額(数十万円〜)

■ AGA(Androgenetic Alopecia、男性型脱毛症)のQ&A

Q1:フィナステリドとデュタステリドは、どちらが効きますか?
A:どちらも有効ですが、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の両方を抑えるため、より広範囲に作用します。

Q2:フィナステリドやデュタステリドの効果はいつ頃出ますか?
A:早い方で3〜6ヶ月、明確な改善は6〜12ヶ月が目安です。

Q3:フィナステリドやデュタステリドの内服をやめるとどうなりますか?
A:服用を中止すると数ヶ月でDHTが再び増加し、進行が再開します。継続が重要です。

Q4:挙児希望の場合はフィナステリドやデュタステリド内服をやめた方がいいですか?
男性がフィナステリドを飲むことでパートナーや赤ちゃんに薬が有害になるという心配は基本的に不要です。
国際的なデータでは、精液中に含まれるフィナステリドは 母体や胎児に影響を与えるレベルではなく、
女性が直接フィナステリドを服用した場合にのみ、胎児(特に男児)に影響が懸念されるとされています。
ただし、「精子の質」に影響する可能性はあります。少数例ですが、精子濃度、運動率、精液量が低下した症例報告があります。
多くは中止後約3か月で回復します。(精子形成サイクルが約74日)

ご心配な場合や下記のケースでは医師に相談のうえ、中止を検討して下さい。
  ・夫側の精液検査で異常がある→一時中止を検討
  ・1年以上妊娠に至らない→不妊外来+中止相談

Q5:フィナステリドやデュタステリドは何歳から飲めますか?
A:原則20歳以上が対象です。思春期ではホルモンバランスが安定していないため勧められません。

Q6:フィナステリドやデュタステリドの長期服用でがんになりますか?
A:現時点で発がんリスクは報告されていません。むしろ前立腺がんのリスクをやや下げる可能性が示されています。

Q7:AGAに母方の家系が関係するのはなぜですか?
A:DHTの影響を受けやすいかどうかは、毛包に存在するアンドロゲン受容体遺伝子の感受性に左右されます。
5α-リダクターゼやアンドロゲン受容体の遺伝子はX染色体に存在し、男性は母親からX染色体を1本受け継ぐため、「母方の祖父が薄毛」だと発症しやすいといわれています。
ただし、父方の遺伝や生活習慣も発症に大きく関わるため、「母方だけが原因」ではありません。

Q8:男性ホルモンが多いとAGAになりやすいですか?
A: 男性ホルモン(テストステロン)の量が多いこと自体がAGAの原因ではなく、毛包(髪の毛の根元)の“感受性”が高いことが原因です。

AGAでは、毛乳頭細胞にあるアンドロゲン受容体(Androgen Receptor:AR)が活性型男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)に対して敏感な状態になっています。
遺伝的にこの感受性が高い人は、通常量のDHTでも毛包が「過剰反応」し、毛の成長期を短縮させてしまいます。

要素影響
テストステロン量AGA発症には直接的ではない
DHT産生量関係あり(5α-リダクターゼ活性が高いほど)
アンドロゲン受容体の感受性最も重要(遺伝的要因)

Q9:胸毛やヒゲが濃い人は、AGAになりやすいですか?
胸毛が多い方=AGAになりやすい、とは限りません。
胸毛やヒゲが濃い人は、全身的なアンドロゲン活性が高い(DHTが多い)、またはその部位の毛包がDHTに強く反応する、
という特徴を持っていますが、その人の頭皮の毛包がDHTに敏感であるかどうかは別問題です。

実際には、胸毛が濃くても頭髪はフサフサの人、体毛は薄いのに早期からAGAが進む人、のどちらのパターンも存在します。

まとめ

AGAは遺伝やホルモンの影響による進行性の脱毛症ですが、早期治療により進行を止め、発毛を促すことが可能です。

AGAにおいて推奨度Aの治療法であるミノキシジル外用は「育てる薬」フィナステリド・デュタステリドの内服は「抜けさせない薬」として役割が異なります。
また、併用することで、相乗効果が得られます。前述のその他の治療法も十分に効果を認めます。

女性にも「びまん性脱毛症」や「FAGA(女性男性型脱毛症)」が増えています。
薄毛に悩んでいる方は、まずは皮膚科専門医へご相談ください。

FAGAや円形脱毛症についてはこちら↓

監修医師

あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長

つつみ みどり