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アゼライン酸とは?皮膚科専門医が解説するニキビ・酒さ・シミへの効果と安全性

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「なにを使ってもニキビが良くならない」「妊娠中で治療薬の選択肢が少ない」「赤ら顔やシミも気になる」
――そんな方に注目されているのが アゼライン酸(Azelaic acid) です。

自然由来でありながら、ニキビ・酒さ・色素沈着に多面的に作用し、海外では医薬品として長年使われています。
日本皮膚科学会の『尋常性ざ瘡・酒皶治療ガイドライン 2023』にも記載されており、妊娠中や若年層の方にも使用できるのが特徴です。

この記事では、アゼライン酸の 作用機序・効果・安全性・使い方 を皮膚科専門医の視点でわかりやすく解説します。

アゼライン酸は、飽和ジカルボン酸の一種で、小麦やライ麦、酵母など自然界にも存在します。
海外では30年以上にわたりニキビや酒さ治療薬として使用されてきました。
日本では医薬品としては未承認で、化粧品や皮膚科クリニックでの導入が中心です。

角質の過剰な蓄積を防ぎ、白ニキビ・黒ニキビの元となる面皰を減らします。

皮脂の過剰分泌を抑え、ニキビの悪化やテカリを防ぎます。

アクネ菌(C.acnes)の増殖を抑え、炎症性ニキビの発症を防ぎます。

肌の赤みや腫れを抑える働きがあり、酒さや赤ら顔にも有効です。

チロシナーゼを阻害し、シミや炎症後の色素沈着を予防・改善します。

・白ニキビ・黒ニキビ:毛穴の詰まりを改善します。
・赤ニキビ・膿ニキビ:抗菌・抗炎症作用で炎症を軽減します。
・ニキビ痕:色素沈着を防ぎ、痕が残りにくくなります。

 
 アゼライン酸は刺激が少なく、他の保険適応の外用薬(過酸化ベンゾイル・レチノイドなど)に比べて副作用が少ないのが特徴です。
 肌が敏感な若年層(思春期)のにきびや妊娠中の方でも安全に使いやすいのがメリットです。

・赤み(紅斑)、丘疹、膿疱を改善します。
抗炎症作用慢性的な赤ら顔を和らげます

メラニン生成を抑え肝斑や炎症後色素沈着を改善します。
美白ケアとしても期待できます。
妊娠・授乳中:催奇形性の報告がなく、安全性が高いとされます。

日本皮膚科学会「尋常性ざ瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」では、アゼライン酸外用は推奨度C1です。
C1とは、安全性が確認されており、試してみる価値があると考えられる治療法です。
しかし、海外ではアゼライン酸は軽症~中等症のニキビ治療で標準的に使用される薬剤です。

日本国内の皮膚科では下記のDRX®AZAクリア(資生堂)(1本15g 税込1,980円)が多く使用されています。
当院でもこちらを取り扱っております。

アゼライン酸は「濃度」によって期待できる効果や使用感が変わります。

●海外(欧米)の処方薬

一般的に 15%クリーム/20%クリーム が使われています。主に 酒さ(赤ら顔)・にきび治療 の保険適応があり、効果もエビデンスが豊富です。

●日本国内(自由診療・医療機関専売)

有名なのは前述した DRX®AZAクリア(資生堂)で、アゼライン酸 が20%配合されています。

●市販の化粧品(コスメ)

安全性を優先して 5%未満 の濃度に抑えられていることが多いです。
医薬部外品や化粧品なので刺激が少なく、敏感肌の方や初めて試す方には安心して使える可能性があります。
ただし効果はマイルドで、にきびの改善や美白目的なら医療機関での高濃度製品の方が期待できます。

アゼライン酸の濃度と特徴

濃度主な製品例特徴・効果向いている方注意点
5%未満
(市販コスメ)
ドラッグストア・通販化粧品刺激が少なくマイルド。美白・毛穴・にきび予防のサポート。敏感肌の方、初めて使う方効果はゆるやか。大きなにきびや色素沈着改善には時間がかかる。
15%
(海外処方薬)
Skinoren®
(海外)など
にきび・酒さ治療に有効。炎症や赤みを抑えるエビデンスあり。中等度のにきび・酒さに悩む方日本では未承認。海外処方に限られる。
20%
(医療機関専売コスメ)
DRX®AZAクリア(資生堂)シミ・にきび・酒さ・毛穴改善。日本で利用できる中で最も効果的。よりしっかり効果を求める方刺激感が出ることがあるため、医師の指導下で使用するのがおすすめ。

アゼライン酸は「ジカルボン酸」という比較的シンプルな分子構造を持っています。酸化や光による分解を受けにくいため、化学構造式的にも安定性が高い成分です。
そのため、化粧品や医療用クリームとしても保存・使用がしやすいのが特徴です。

ただし、高濃度(15〜20%)では刺激感(ピリピリ感や赤み)が出ることがあるため、肌質や使い方には注意が必要です。

赤み、かゆみ、乾燥、軽い刺激感など

アゼライン酸は通常1日2回使用しますが、刺激が心配な場合は、使用初期は夜のみ、または隔日使用から開始するとよいでしょう。
また保湿をしっかり行い、日焼け止めを併用し、紫外線対策を徹底しましょう。


Q1. どのくらいで効果が出ますか?

A. ニキビの改善には2〜3か月が目安、シミや色素沈着にはさらに長期間の使用が必要です。

Q2. 妊娠中でも本当に安全ですか?

A. アゼライン酸は催奇形性が報告されておらず、安全とされています。
 クリニックでは必ず医師の診察のもとでアゼライン酸を自費処方いたしますので、ご心配な方はその際に再度ご相談ください。

Q3. 思春期の子どもにも使えますか?

A. はい。刺激が少なく、小児にも使いやすい薬剤です。ただし医師の判断のもとで使用しましょう。

Q4. 他の薬や化粧品と併用できますか?

A. 保湿剤や日焼け止めは必須です。レチノイドや強いピーリング剤との併用は刺激が強くなるため注意してください。

Q5. 副作用が出たらどうすればいいですか?

A. 赤みやかゆみが強い場合は中止し、医師に相談をして下さい。使用量や頻度を調整することで続けられる場合もあります。

アゼライン酸は比較的安全な成分で、ニキビ治療の第一選択薬である過酸化ベンゾイル(ベピオ®やデュアック®など)、ビタミンA誘導体(ディフェリン®など)が
適応の年齢、症状ではあるものの、これらの刺激が強く、工夫して使用しても継続できない場合に、次の選択肢となり得ます。
また、赤ら顔(酒さ)のときにも使用します。当院では、1日1回の外用から開始して刺激が出ないことを確認した後に、1日2回に外用回数を増やすことをおすすめしています。
しかし、にきびの第一選択薬で強い刺激が出た方、もともと肌が弱い方では、マイルドなアゼライン酸でも刺激により継続できない方が一定数いらっしゃいます。
しかし、市販の低濃度の製品では、効果を実感できるまでに至るのは難しいか、かなりの時間を要すると考えます。
アゼライン酸やハイドロキノン、レチノールなど刺激がでる可能性のある成分は、なるべく医師の指導のもと医療機関で開始して頂きたいです。

アゼライン酸は、にきび、酒さ(赤ら顔)、シミ・色素沈着幅広く効果を発揮し、安全性の高さから妊娠中や若年層でも使用できるのが大きな特徴です。
海外では標準治療薬として、日本でもガイドラインに掲載されている安心の治療法です。
にきび、しみ、酒さ(赤ら顔)などの肌トラブルでお悩みの方は多くいらっしゃいます。
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院では、肌の状態を的確に診断し、使用感や刺激感を患者様と相談しながら治療を行っております。
特に、酒さ(赤ら顔)で色素パルスレーザーでの治療までは検討されておらず、まずはしっかりスキンケアや内服薬で治療したい方、
今までのニキビ治療の外用薬で刺激が強かった方、妊娠中の方、などの治療実績が多くあります。(酒さの治療では、すべての赤みに対してアゼライン酸が有効なわけではありません。)

これらの肌トラブルでお困りの方は、当院にお気軽にご相談ください。

監修医師

あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長

つつみ みどり