【皮膚科専門医・美容皮膚科監修】ビタミンA完全ガイド~第三弾~|エンビロン®とゼオ®スキンヘルスの違いを徹底解説

”【皮膚科専門医・美容皮膚科監修】ビタミンA完全ガイド~第一弾~”
”【皮膚科専門医・美容皮膚科監修】ビタミンA完全ガイド~第二弾~”に引き続き、
この~第三弾~では
ビタミンA配合のドクターズコスメについて、エンビロン®とゼオ®スキンヘルスの違い含めて解説します。

日本でも有名なビタミンA配合のドクターズコスメ
日本でも有名なビタミンA配合のドクターズコスメには、エンビロン®(ENVIRON)やゼオ®スキンヘルス(ZO®Skin Health)があります。
エンビロン®とゼオスキン®はどちらもビタミンA(レチノール・レチナール・レチノイン酸誘導体)を主成分としたスキンケアブランドですが、
コンセプト・成分濃度・使い方にかなり違いがあります。
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院ではゼオ®スキンヘルス(ZO®Skin Health)を取り扱っております。
エンビロン®(Environ)とZO®スキンヘルス(ZO® Skin Health)はどう違うの?
●エンビロン®(Environ)について

南アフリカ発
Dr.デス・フェルナンデスが開発したビタミンAを主成分とするドクターズコスメ
エンビロン®(Environ)の特徴
・低濃度ビタミンA(パルミチン酸レチノールや酢酸レチノール)を少しずつステップアップする「ビタミンA段階導入システム」です。
・抗酸化物質(ビタミンC、E、ベータカロテン)を組み合わせて紫外線ダメージケアを重視しています。
・赤みや皮むけが少なく、敏感肌の方でも始めやすく使いやすいラインナップです。
特に初心者🔰の方から使いやすいモイスチャーシリーズ、その後のプレミアムなエンジングケアラインとしての
C-クエンスシリーズが有名です。
エンビロン®(Environ)のメリット
・副反応(A反応)が少なく使いやすく、長期的にも使いやすいというメリットがあります。
・予防的エイジングケアや美肌維持の効果があります。(これはZO®スキンヘルスでも同様です。)
●ゼオ®スキンヘルス(ZO® Skin Health)について

アメリカの皮膚科医ゼイン・オバジが開発
ビタミンAを主成分とし、ハイドロキノンも取り入れるスキンケア製品
ゼオ®スキンヘルス(ZO® Skin Health)特徴
・高濃度レチノール(0.25〜1%)やトレチノイン(レチノイン酸)を処方薬レベルで使用可できます。
・ハイドロキノンなどの美白成分が高濃度配合されているものもあります。
・集中的な肌再生プログラム(セラピューティック)と、マイルドな維持プログラムが有名な使い方です。
・短期間でしっかり結果が出ます。
・シミ・肝斑・色素沈着・毛穴・小じわなどの肌の悩みを総合的に改善します。
・医師管理下で濃度や期間を調整できます。
エンビロン®(Environ)とゼオ®スキンヘルス(ZO® Skin Health)違い
特徴 | エンビロン | ゼオスキン |
---|---|---|
主成分のビタミンAの種類 | パルミチン酸レチノール 酢酸レチノール(マイルド) | 高濃度レチノール トレチノイン(強力) |
美白成分 | ビタミンC、抗酸化物質中心 | ハイドロキノンなど高濃度 |
反応の強さ | 少ない | 肌再生プログラム(セラピューティック) では強い赤み・皮むけ |
効果発現 | 緩やか | 比較的短期間で効果を実感 |
ターゲット | 肌質維持・予防 | 肌の集中的改善 |

エンビロン®とゼオ®スキンヘルスの違いのまとめ
〇エンビロン® → パルミチン酸レチノールを主成分としており、反応も穏やかなため、
初心者🔰の方でも導入しやすく、その後も続けて使いやすいです。
(高濃度ラインではピュアレチノールやレチナールを少量配合しているもあります。)
〇ゼオ®スキンヘルス → ピュアレチノールの高濃度製品が中心です。
そこにシミ改善効果の高いハイドロキノンを組み合わせて治療します。
トレチノインを使用する「セラピューティックプログラム」が有名です。
(セラピューティックプログラムは非常に効果の高い治療法なのですが、皮むけが激しく、ある程度長い期間の
ダウンタイムを要します。日常生活ではどうしても使いづらく、当院では積極的には行っておりません。)
ゼオ®スキンヘルスの セラピューティックプログラム(Therapeutic System) とは?
医師の管理下で行う 強めのビタミンA(トレチノイン)療法のことです。
ゼイン・オバジ博士が考案した肌再生プログラムです。
「攻めの治療」で、肌のターンオーバーを一気に整え、しみ・しわ・にきび痕・色むらを改善することを目的としています。使用期間は 約3〜5か月です。
(本気で攻めます…!!!)
セラピューティックプログラムで使用する製品
クリニックによって異なることもありますが、基本的には以下を組み合わせます。
〇ハイドロキノン配合製品→メラミン®(ハイドロキノン4%)、メラミンHP®(医療機関専売・濃度高め)
ハイドロキノンの作用により、色素沈着やしみを抑えます。
〇トレチノイン(医師処方)→ビタミンA誘導体の一種で、細胞の入れ替えを促進します。
「セラピューティック」の核になる成分です。
*トレチノインの外用薬については、ZO®スキンヘルスの商品内にあるわけではなく、医師がクリニックで自費処方するものです。
〇サポートアイテム→デイリーPD®、ミラミン®、サンスクリーンなど
肌のバリアを補い、紫外線から肌を保護します。
セラピューティックプログラムでの特徴的な反応(ダウンタイム)
開始から数週間は「A反応」と呼ばれる刺激症状が強く出ます。赤み・乾燥・皮むけ・かゆみ・ヒリヒリ感などです。
A反応自体は、薄い紙を消しゴムで目一杯強くこすったときに紙がむけるような感じの皮むけですが、
セラピューティックでは濡れた薄い紙を同様に扱った時のような、強い皮むけ・強い赤みを伴います。

(第二弾でも触れましたが、A反応の写真です。セラピューティックプログラムではもっと強い反応が出ます。)
セラピューティックプログラムで得られる効果
〇シミ・そばかす・肝斑・色素沈着の改善✨
〇小じわや毛穴の軽減✨
〇ニキビ・ニキビ痕の改善✨
〇肌の透明感・ハリ感のアップ✨
注意点
●医師の指導下でしかできません。市販購入はできません。
●保湿と紫外線対策が必須です。
●ビタミンAは催奇形性を有するので、妊娠中・授乳中は使用できません。
●終了後は「メンテナンスプログラム(セラピューティックライトなど)」に移行して肌を維持します。
~私見を多く含みますが…当院がゼオ®スキンヘルスを採用している理由~
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院ではゼオ®スキンヘルス(ZO® Skin Health)を取り扱っております。
〇結果を重視している点
→ 高濃度のレチノールやトレチノインにより、ターンオーバー促進・コラーゲン生成・色素排出を一気に加速します。
短期間でも目に見える効果が出ます。
ダウンタイムを許す状況下でセラピューティックプログラムを行うことができれば、それこそきれいな”卵肌”を得ることが可能です!!
〇美白成分も強力
→ ゼオ®スキンヘルスではエンビロン® と違い、ハイドロキノンを組み合わせて治療します。
ハイドロキノンとの併用で、色素沈着の改善がエンビロンより早くみられます。
〇濃度と期間を医師が調整できる
→ 個々の肌の悩み(シミ、毛穴、ニキビ痕、しわ)に合わせたカスタム処方が可能です。
当院ではカスタム治療として、基本的に維持プログラムに近い方法で治療を行っております。
ゼオ®スキンヘルスを含め、ドクターズコスメは濃度や効果、安定の違いから、圧倒的に高い効果を出すものの、
やはり費用は市販の商品より高くかかってしまいます。
商品をよく知ると、有名な商品で高価格であるものとほぼ同じ濃度で、かつたくさんの量が入っている商品もあります。
また、ゼオ®スキンヘルスに代表的なビタミンAやハイドロキノンが含まれない商品もありますので、
それらについては、ご自宅で使用中の基礎化粧品の継続を最優先して、肌に優しい他の低価格のスキンケア製品を組み合わせていただいております。
患者様の中にはビタミンAは使用できるけれど、ハイドロキノンにはアレルギーがあって使えない…という方もいらっしゃいます。
その場合は、ハイドロキノンを取り入れずに、ビタミンAを主軸として、治療を行っております。
また、化粧水の中には肌を弱酸性に整える製品もあります。
弱酸性の環境下ではアクネ桿菌を増やしにくいようにベースの肌を整えることができるので、
ニキビに対しても非常に効果的な点が魅力的です。
当院では、費用対効果を考え、ダウンタイムも極力減らし、毎日使用しやすいスキンケアを考え、ご提案しております。
もちろんエンビロン®の方が先に国内でも販売されていましたので、私も長らく使用しておりました。
こちらも間違いなく、非常に効果が高く優れた製品です!
前述しましたように、パルミチン酸レチノールという肌への負担が少ない成分を主としますので、
ビタミンAに無理なく肌を慣らすことができ、刺激も少なく、安心して使えます。
エンビロンはエステ関連でも有名です。
最近では有名なモイスチャーシリーズ、C‐クエンスシリーズのほかに、プレパレーションシリーズ、
ボディケアシリーズ、フォーカスクリアスキンプラス、フォーカスケアプラス、フォーカスモイスチャープラス、
フォーカスエヴァネッセントプラス、フォーカスヴァイブランスプラス、イーブンモアケア セグメント…
などラインが煩雑になりました。
ゼオ®スキンヘルスはエンビロン®よりもある意味シンプルに、濃度の違う製品が明確に存在します。
ビタミンA含有の製品については、ピュアレチノールが主成分であり、それぞれの質が非常に高いものです。
成分による効果や刺激の違い、肌の悩みに応じて、高い効果を出しつつ調整しやすいこと、シンプルな
ラインナップの中にハイドロキノンを含む製品も存在すること、がゼオ®スキンヘルスの良さだと考えております。
また、ゼオ®スキンヘルス(ZO Skin Health)の基本哲学のひとつには、
「肌の構造を“縦(表皮と真皮のターンオーバー)”と“横(バリア機能・均一性)で整える」 という考え方があります。
エンビロン®とは全く違う観点です。
これについてもう少し詳しく説明します。
縦のライン(Vertical Dimension)とは?
『縦』とは 表皮 → 真皮 → 皮下組織への深さ方向のことです。
ゼオ®スキンヘルスは、縦方向を整えることで、肌の奥から再生力を高めるように考えられています。
〇ターンオーバーの正常化:トレチノインやレチノールで細胞の入れ替えを促します。
〇メラニンコントロール:ハイドロキノンでしみや色ムラを改善します。
〇コラーゲン・エラスチン産生促進:ビタミンAの働きで真皮の線維芽細胞を刺激 し、ハリ・弾力を改善します。
横のライン(Horizontal Dimension)とは?
『横』とは 表皮の表面(バリア・均一性・広がり) のことです。
横方向を整えることで、表面の均一性と透明感を出すという発想です。
〇バリア機能の均一化→ 水分保持・皮脂分泌をバランス良くします。
〇角層のムラをなくす→ ピーリング成分(グリコール酸など)で角質を整えます。
(当院ではゼオ®スキンの製品では積極的にこの点は行っておりません。)
〇肌トーンの均一化→ 赤み・くすみを減らし、肌表面を滑らかにします。
まとめ 『縦 × 横 のクロスアプローチ』
以上より、ゼオ®スキンヘルスは、縦のリモデリング(奥からの入れ替え)と横のスムージング(表面の均一化) の
二方向へのアプローチによって、肌を「再構築(Skin Remodeling)」するのが特徴です。
多くの化粧品は「保湿」や「美白」など 横のライン(表面の補強) だけにとどまります。
一方ゼオ®スキンヘルスは 医師処方レベルのビタミンAやハイドロキノンを使い、肌の奥(縦のライン)まで変えるのが大きな違いです。
また、特にシミ治療においては、ピコセカンドレーザーとゼオ®スキンヘルスを組み合わせることにより
自宅でのスキンケアも遂行でき、非常に高い効果をもたらします。
『ゼオ®スキンヘルスと医療施術を組み合わせることで得られる高い効果』については、今後のコラムで触れる予定です。
ビタミンAを用いたスキンケアにご興味がある方は、ぜひ当院のカウンセリングをご予約ください。
第三弾の最後に…各製品・薬剤の位置づけのまとめ
成分名 | 強さ | 安定性 | 刺激 | 主な用途 | 含まれる主な製品・ ブランド |
---|---|---|---|---|---|
パルミチン酸レチノール (Retinyl Palmitate) | ★ | ★★★★★ | 弱 | 保湿・初めてのビタミンA 化粧品 | エンビロン®(モイスチャーシリーズ) |
酢酸レチノール (Retinyl Acetate) | ★★ | ★★★★ | 弱 | 美肌目的の 化粧品 | (一般化粧品・海外スキンケアに多い) |
プロピオン酸レチノール (Retinyl Propionate) | ★★ | ★★★★ | 弱〜中 | 海外化粧品 など | (日本では少なめ) |
ピュア レチノール (Retinol) | ★★★ | ★★ | 中 | 美白・シワ改善・毛穴改善 | ゼオスキン®(デイリーPD、RCクリームなど)、一部エンビロン®高濃度シリーズ |
レチナール(レチナールデヒド) (Retinaldehyde) | ★★★★ | ★★ | 中〜強 | シワ改善、 医療化粧品 で使用 | (国内医療機関向け化粧品で限定的) |
トレチノイン(レチノイン酸) (Retinoic Acid) | ★★★★★ | ★ | 強 | 医療用外用薬(自費) | 医師処方のみ(ゼオ®スキンヘルスのセラピューティックプログラムで使用) |
アダパレン (Adapalene) | ★★★★ | ★★★★ | 中 | ニキビ治療(保険) | ディフェリン®ゲル、 エピデュオ®ゲル |
イソトレチノイン (Isotretinoin, 経口) | ★★★★★ | – | 強(全身作用) | 重症ニキビの内服治療 (日本では未承認) | ロアキュタン® アクネトレント®等 (海外) |
第三弾は以上です。ビタミンAでのスキンケアの利点を多くの方に知ってもらえると幸いです。
監修医師
あおい皮フ科クリニック南阿佐ヶ谷駅前院 院長
つつみ みどり