Rosacea treatment
酒さ・赤ら顔
保険診療 /
あおい皮フ科クリニックの酒さ・赤ら顔治療
酒皶(しゅさ)とは
酒皶は顔にほてりや発赤を繰り返す原因不明の慢性疾患で、主に中高年の方に多いとされますが、初発年齢は20歳未満の場合もあります。
症状を繰り返しながら30-40歳代になると主に顔の中心部に持続的な赤みを呈するようになります。
女性の患者さんが男性より3倍多いです。
悪化要因として、飲酒やホットドリンク、香辛料などの食事内容、急激な気温差、紫外線、化学刺激、激情などが挙げられます。
日本では重症度により第1度(紅斑毛細血管拡張型)、第2度(丘疹膿疱型)、第3度(瘤腫型酒皶)に分類されます。
日常診療では第1度と第2度の患者さんが多くみられます。
治療
近年では、尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023が改訂され、酒皶治療について見直されています。
<第1度(紅斑毛細血管拡張型)>
皮膚がほてる感じの症状や毛細血管がしっかりと目立つタイプの症状です。
パルス色素レーザー(595nm)、Nd:YAGレーザー(1,064nm、ロングパルス)、intense pulsed light(IPL)や、内服外用療法が基本となります。
第1度と一括りにしても症状は多岐にわたり、皮膚の紅潮を繰り返すタイプなのか、毛細血管拡張が明らかなタイプなのか、
また紅斑についても淡い色か鮮紅色か、強い熱感を伴うかどうか、という違いにより、アプローチの仕方は変わってきます。
当院では酒皶の第1度では、まず生活指導やスキンケアの指導を行っております。
顔の赤みは強いストレスになるので、刺激を感じずに使い慣れたメーキャップ化粧品がある場合は、使用を中止せず、メイクを継続してもらいながら治療しています。
血管を拡張させないタイプの保湿を十分に行い、後述の酒皶様皮膚炎の発症に注意しながら、抗炎症薬の外用や、アゼライン酸(AZA)外用での安定を目指します。
(アゼライン酸はガイドラインで推奨されている薬剤ですが、保険適応外であり、1本15gで税込1,980円と決められています。
当院ではアゼライン酸を取り扱っています。アゼライン酸はニキビ治療でも12歳未満の方や妊婦さんにも推奨されていますが、刺激がある場合もあるので、注意が必要です。)
また、酒皶は日光暴露で悪化するため、紫外線対策としてサンスクリーン剤の適切な使用を指導しております。
第1度(紅斑毛細血管拡張型)では第2度のにきび様変化の時とは違い、抗生物質が効かないので、当院では漢方を併用して治療することが多く、良好な治療成績を得ています。
毛細血管がしっかりと浮き上がっている場合には、推奨度の高いパルス色素レーザーでの治療が効果的です。(こちらは行っておりません。)
保険適応外の治療としては、成人の方にPOTENZAのSチップを用いた自費治療を行っています。
<第2度(丘疹膿疱型)>
第2度では、第1度の皮膚がほてる感じに加えて、にきび様変化のある皮疹を認めます。
0.75%メトロニダゾールゲル(ロゼックス®)の外用と、ミノサイクリン(ミノマイシン®)やドキシサイクリン(ビブラマイシン®)といったテトラサイクリン系の抗生物質の内服が効果的です。
抗生物質はよく効く反面、酒皶では内服を中止すると再燃する患者さんが多くいらっしゃいます。
医師としては、耐性菌という抗生物質に反応しない菌の発生を抑え、腸内細菌叢を崩さないように、抗生物質の長期投与は避けたいところです。
この目的で第2度でも、漢方の内服療法を併用し、効果を得ています。
保険適応外の治療としては、成人の方にPOTENZAのCPチップを用いたドラッグデリバリーシステムでの自費治療を行っています。
<第3度(瘤腫型酒皶)>
第3度の場合は鼻瘤と呼ばれる、鼻の毛穴が著明に拡大し、鼻が赤く腫れた状態になります。
この場合はレーザー療法や凍結療法、整容的な手術が適応です。
(当院では第3度の治療は難しく、高次医療機関へご紹介させて頂きます。)
<酒皶様皮膚炎>
長期間ステロイドや非ステロイド性抗炎症外用薬を顔に使用することによって酒皶に似た赤ら顔となる疾患です。
ステロイドを外用したすべての症例に起こるのではなく、酒皶の素因をもつ患者さんにステロイド外用薬を使用した際に生じるとされます。
この場合も酒皶の治療と同様に、赤みの程度や経過に応じて漢方薬を選択し、効果を得ています。
監修医師
あおい皮フ科クリニック 院長
つつみ みどり